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        <title>大西良雄ニュースの背後を読む</title>
        <link>http://www.quon.asia/yomimono/business/oonishi/</link>
        <description>【by 大西良雄】 ジャーナリストとしての視点から、ニュースの裏に潜む実態をわかりやすく解説！タイムリーな話題が満載。</description>
        <language>ja</language>
        <copyright>Copyright 2012</copyright>
        <lastBuildDate>Fri, 18 May 2012 10:29:09 +0900</lastBuildDate>
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            <title>いきなりズドン、わが家に雷が落ちた？</title>
            <description><![CDATA[（2012年5月18日筆）<br /><br />　今朝（5月18日）の午前一時過ぎだったと思いますが、「ズドン」という鈍い強い音がしました。それと同時に身体が震え、思わず目が覚め、ベッドから身を起こしました。<br /><br />　何が起きたのか。寝ぼけ眼で考え付いたのは2つの可能性です。ひとつはわが家の近くを走る立川断層がズレ動き大型の地震が発生したという可能性です。<br /><br />　ズドンと音がしたあと身体が震え、寝室の天井にある蛍光灯のカバーが外れてぶらぶら揺れていましたから大型地震を疑っても不思議ではありません。しかしぶらぶら揺れているのは蛍光灯のカバーだけで書棚や家具は揺れていません。しかも身体の揺れはほんの一瞬で、その後、横揺れも縦揺れもありません。地震ではなさそうです。<br /><br /><br /><b>ダンプがわが家のブロック塀に突っ込んだ音？</b><br /><br />　もうひとつ、わが家のブロック塀にダンプか乗用車が突っ込んだのではないか、そういう可能性にも思い至りました。<br /><br />　最近は多数の死傷者を生む理解しがたい自動車事故が少なくありません。ダンプや乗用車が通学、通園途中の子供たちの列に飛び込む。格安の夜行バスが高速道路の側壁に突っ込み股裂き状態になった。建機を積んだトラックが、熱海市街の坂道でブレーキがきかなくなって対向車に次々ぶつかったあとクリーニング店に飛び込んだ。<br /><br />　そんな映像を毎日見せられていますから、「ズドン」という音は、ダンプか乗用車かがわが家のブロック塀に突っ込んだ音だと思い付いたのでしょうね。<br /><br />　わが家から500メートルほど先に小学校があります。毎朝、2組の通学班が最上級の6年生を先頭にわが家の玄関先の道路を一列縦隊で歩いて行きます。6年生の後に続く子供たちがおしゃべりをしながら楽しそうに通学しているのを見るのが小生の楽しみでもあります。<br /><br />　ちょっと余談になりますが、小宅のブロック塀は盛り土を支えるもので高くはありません。小学生は通学路に沿って植え込んだ我が家の草木を眺めながら通学することになります。狭いのですがわが庭先にはたくさんの草木が密植されています。<br /><br />　いまは黄色のモッコウバラ、真紅、朱赤、ピンク、黄色のバラ、チェリーセージ、クレマチス、ローズマリー、アイリス、杜若が咲き、これからラベンダー、ハンカチの木、ピンク、空色、濃紺のアジサイが咲き始めます。<br /><br />　木々では、藤の木、ブルーベリー、柚子、エゴノキ、ソテツはすでには花をつけましたが、金木犀、ざくろ、夏みかん、柿木などはこれから花を咲かせます。花はつけませんがイチジクも見えます。<br /><br />　小生、家内と一緒に手入れして育てたわが家の草花を眺めて、通学班の子供たちが「きれいだね」「この花の名はなんというの」と言い合ってくれるのをひそかな楽しみにしているのです。めったに言ってくれないのですが......。<br /><br />　「ズドン」という音が、そんな通学班の子供たちを巻き込んで自動車がブロック塀に突っ込んだ音だとすれば、ぞっとします。悪夢です。しかし、音がしたのは夜中の1時過ぎ、よく考えれば通学班の子供たちはスヤスヤ夢の中です。夜中の住宅地にダンプトラックが走るはずがありません。この可能性も早とちりでした。<br /><br /><br /><b>犯人は雷、わが家の屋根を直撃したように聞こえたが...</b><b>...</b><br /><br />　実は、音と震えの犯人は雷だったのです。テレビのニュースでは「関東地方では大気の状態が不安定で18日夕方から落雷や突風が発生する恐れがある」と繰り返し言っていました。最近の天気予報は良く当たりますね。<br /><br />　しかし雷なら、ぴかっと光ってゴロゴロと鳴り、その後、バリバリ、ズトンと来るのが普通です。ぴかっ、ゴロゴロ、バリバリの前段がなく、いきなりズドンでしたから雷だったとは思えませんでした。<br /><br />　ここで家内と議論になりました。家内は、「雷がわが家に落ちた」からゴロゴロ、バリバリの前段がなくいきなりズドンと来たのではないかと言い張って引かないのです。小生、雷が小宅を直撃していれば、火災が発生しているはずだ、停電になっているはずだ、火災も停電もないのだから雷は直撃していないと諭したのですが、なかなか納得してくれません。<br /><br />　確かに家内が強く言い張るとおり、ズドンの音は小宅の屋根、家内の頭上から発せられたように思えます。小生にもそう聞こえました。「雷は近くに落ちたが、わが家には落ちていない」という小生の正論が間違っている可能性もある......。<br /><br />　まあ、火事も停電もなく、どこにも雷の被害がなかったのですから、どうでもいいことなのですが、雷が落ちても木造家屋に被害が生じないことなどあるのでしょうか。家内を再度説得するためにも知っておきたいと思っています。<br /><br />　ほんとうは、ユーロ安（円高）、株価急落の原因になっているギリシャのユーロ離脱リスクについて書く予定でしたが、雷のズドンにかく乱されてしまいました。ユーロ離脱リスクは来週書きます。 ]]></description>
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            <pubDate>Fri, 18 May 2012 10:29:09 +0900</pubDate>
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            <title>「増税より成長が先」といって勝つ「政治のアウトサイダー」</title>
            <description><![CDATA[（2012年5月11日筆）<br /><br />　「朝日新聞」の「オピニオン」欄は時に優れたインタビューを掲載しますので眼が離せません。4月13日の本プログでも「オピニオン」欄に掲載された「派遣村」の村長だった湯浅誠氏のインタビュー記事を紹介しました。今回は5月10日の「オピニオン」欄に掲載された慶応大学経済学部の竹森俊平教授の「失われた20年　政治の責任」と題するインタビュー記事を紹介します。<br /><br />　竹森教授は、2002年に東洋経済新報社から刊行された『経済論戦は蘇る』で吉野作造賞を獲得した俊才です。この著書は小生が東洋経済の出版局長当時に発刊されたものですが、担当した編集者の慧眼にいまさらながら感心しています。教授は著書の中で、オーストリア出身の経済学者ヨゼフ・シュムペーターが唱えた「創造的破壊」の考え方とアメリカの経済学者アービング・フィッシャーが主張した「デット・デフレーション」（債務デフレ）の考え方を対比させて戦前の大恐慌をめぐる経済論戦を分析しています。<br /><br />　そのうえで、小泉純一郎内閣による構造改革路線は、「不況の破壊力」のなすがままにさせ非効率なものを経済から一掃する（これを「清算主義」と名づけた）一方、民間の自力による「創造的破壊」によって経済の回復を図るというシュムペーター流の経済思想だと指摘しました。一方のフィッシャーの「デット・デフレーション」の考え方はデフレ対策として量的金融緩和からインフレ目標政策にいたる金融政策を重視する立場につながっているとも指摘しました。日本で展開されている親・日銀派（シュンペーター派）と反・日銀派（フィッシャー派）との現在の激しい論争の源流が紹介されていたことになります。<br /><br /><b><br />選挙が近づくと「政治のアウトサイダー」が勢いづく<br />彼らは成長が可能だから増税は不要だと「夢を売り込む」</b><br /><br />　それはさておき、竹森教授は「オピニオン」欄において、国会で本格論戦が始まった消費増税をめぐる政治の迷走について興味深い指摘をしています。<br /><br />　教授は、「増税が難しいのは、成長重視と財政再建重視という両論の対立が必ず起きて、選挙が近づくと、痛みが伴わない成長重視派が有利になるからです」とまず指摘しています。そして「地震や原発事故が起こり、この国の前途を心配して、増税もやむなしという国民の合意ができかけたのに、解散・総選挙がいわれ始めると、すっと成長重視派に人気が移る」という状態になったというのです。<br /><br />　竹森教授は、「政権を担っていない『政治のアウトサイダー』」が日本はまだ「高い成長が可能だから増税は不必要だ」とか言って国民に「夢を売り込む」、そして選挙を有利に戦おうとすると指摘しています。この指摘が実に面白いし、的確です。<br /><br />　例えば2001年の自民党総裁選挙で党内のアウトサイダーだった小泉氏が消費税を上げないといって勝った。小泉氏は市場重視の構造改革（「構造改革なくして成長なし」）によって成長を実現すれば税収増によって財政は均衡すると考えたのでしょうか。しかし、竹森教授は「衆参で安定勢力を持ち景気も良かった小泉政権の末期こそ消費増税の絶好の機会だった」のに「増税の道筋もつけられなかった」のは小泉氏の失政だと断じています。同感です。<br /><br />　この後民主党も、当時、野党というアウトサイダーの代表だった小沢一郎氏の、「消費税を上げない」という選挙戦略によって政権交代が実現しました。そして「こんどは橋下徹大阪市長が率いる大阪維新の会のようなアウトサイダーが出てきて成長重視を唱え、増税の実現が怪しくなる」と教授は嘆いておられます。<br /><br /><br /><b>欧州の異常に高い若年層失業率のもとで<br />若者に「成長重視」を売り込んで勝ったオランド氏</b><br /><br />　海の向こうでは、フランスの大統領選挙でミッテラン以来、長い間野党の冷や飯を食わされていた「アウトサイダー」のフランス社会党の党首オランド氏が現職のサルコジ氏を破って新大統領の座を獲得しました。オランド氏も「緊縮財政だけが選択肢ではない。雇用や成長が重要だ」と「成長重視」を選挙公約に掲げて選挙に勝ったのです。<br /><br />　参考までにEU主要国と日本の失業率を下表に示しておきます。欧州の失業問題は深刻です。特に若年層（15歳～24歳）の失業率は政府債務危機に陥ったスペイン、ギリシャが50％超と驚異的な高さです。欧州の中軸国、イタリアは35.9％、フランスでも21.8％と日本の10.3％よりはるかに高い若年層失業率です。職を得られない若者たちが「雇用や成長が重要だ」という成長重視の主張に共鳴してオランド氏に投票したのもうなずけます。<br /><br /><div align="center"><b>深刻な欧州の失業問題、「双子の赤字」を抱え成長は可能か（単位％）</b><br /></div><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="hyo1.JPG" src="http://www.quon.asia/yomimono/business/oonishi/2012/05/11/entryimg/hyo1.JPG" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" height="135" width="444" /></span><font style="font-size: 0.8em;">注1）失業率は12年3月（ギリシャは2月）、ユーロスタット調べ。日本は総務省調べ。<br />注2）財政赤字、経常収支、政府債務（残高）比率は2011年、GDP比、OECD調べ。</font><br /><br />　だからといってオランド氏が経済成長率の引き上げに成功し雇用を増加させる政策手段を持ち合わせているか、それは全く不確かです。<br /><br />　表に見るように、ドイツが輸出競争力を磨いて経常収支黒字を積み上げているのに対し、同じユーロ安の好条件下にありながらフランスは輸出力が弱く経常収支は赤字を続けています。GDP比で財政赤字の大きなスペイン、ギリシャ、イタリアはフランス同様、輸出で稼ぐ力はなく大きな経常収支の赤字を抱えています。<br /><br />　これらの国々の国民は、財政支出に依存した、つまり財政赤字を頼りに消費過多の成長を続けてきました。そのうえ経常収支が赤字のため、つまり海外からの稼ぎがないため貯蓄が増えず、経済成長を促す投資が不足する状態を恒常的に続けているのです。こうした状態を改めず財政赤字と経常収支赤字という「双子の赤字」を抱えたまま経済成長を実現することができるのでしょうか。<br /><br />　かりにオランド氏の公約どおり教員雇用を6万人増やしてもそれだけでは失業率は下がりません。累進税の最高税率を75％に引き上げれば富裕層の資金は海外に逃避、投資の原資が失われてしまうのではないでしょうか。<br /><br /><br /><b>成長重視派の「成長の夢」は幻想、幻影<br />増税を避けてきた結果、GDPの2倍以上の政府債務残高</b><br /><br />　日本とて同じです。財政赤字の垂れ流し、つまりバラマキで何とか国内消費を支えていますが累積赤字（国債残高）は増えるばかりです。少子高齢化の進行で貯蓄率は低下しています。内需に成長力はなく投資は成長力のある海外に流出しています。原発停止で火力発電用化石燃料の輸入急増から経常収支の黒字幅は今後どんどん縮小していくでしょう。数年後にはスペイン、イタリア、フランスのように日本も「双子の赤字」を抱え込み、成長が覚束なくなるに違いありません。<br /><br />　国民は、「夢」を売り込む成長重視派の「夢」が幻想、幻影であることに早く気が付くべきでしょう。竹森教授は「日本には増税で財政を持続可能にするか、いずれデフォルトするかの選択しかない」としたうえで、消費増税法案に名目3％程度、実質2％程度の成長率目標を書くことを主張した民主党の政治家に向けて、「財政計画は希望的観測による高い成長率ではなく、過去20年で1％弱という実績値に基づき現実的に立てるべきです」と言い切っていました。<br /><br />　そして最後に竹森教授は、「日本人は失敗の記憶を蓄積したがらない。増税を避けてきた結果、GDPの2倍の政府債務残高だという認識を国民ははっきり持つべきだ。同じ間違いの繰り返しでは財政は追い込まれ、政治は袋小路に入ってしまいます」という言葉でインタビューを締めくくっています。<br /><br />　たまたまですが3月末の「国債及び借入金」、つまり「国の借金」残高が昨日の5月10日に発表されました。昨年3月末から約35.6兆円増加し残高は約956.9兆円になったそうです。オギャーと日本に生まれたのが運の尽き、国民一人当たり約752万円の借金を背負うことになります。この「国の借金」残高、財務省の資産によれば来年の3月末には1085兆円以上に膨らむそうです。名目GDPの2.3倍にもなります。借金は膨らみ続けているのです。]]></description>
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            <pubDate>Fri, 11 May 2012 14:50:14 +0900</pubDate>
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            <title>業者寄りの高い再生エネ買い取りで消費者が犠牲になる</title>
            <description><![CDATA[（2012年4月27日筆）<br /><br />　7月から再生可能エネルギーの全量買い取り制度がスタートしますが、それにさきがけ経済産業省の「調達価格等算定委員会」（委員長・植田和弘京大教授）が買い取り価格案を提案しました。下表の最上段が委員会提案の価格です。<br /><br />　太陽光発電は住宅用もメガソーラー（大規模太陽光発電所）もいずれも42円と同じ買い取り価格です。風力発電、地熱発電などは発電規模が大きいほど買い取り価格は低く、規模が小さくなるほど価格が高くなっています。バイオマス発電はメタン発酵ガス化発電がもっとも高く、リサイクル木材発電が最も低いという具合に発電方法によって買い取り価格に差がついています。<br /><br /><div align="center"><b>算定委員会提案の再生可能エネルギー発電の買い取り価格</b>（単位kwh当たり円）<br /><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="hyo1.JPG" src="http://www.quon.asia/yomimono/business/oonishi/2012/04/27/entryimg/hyo1.JPG" class="mt-image-none" style="" height="87" width="430" /></span><br /></div><div align="right"><font style="font-size: 0.8em;">注）発電コストは「コスト等検証委員会」の2011年12月試算</font><br /></div><br />　この委員会案と表中段の要望価格を比べてください。要望価格は制度の導入に当たって発電事業者が政府に要望した買い取り価格です。驚くことに委員会案の買い取り価格は業者の要望価格と同じか、それ以上の価格になっています。<br /><br />　発電事業者とは福島原発事故後、「電田（でんでん）プロジェクト」などと唱ってメガソーラー事業を進めているソフトバンクの孫正義社長のような人物、企業を思い浮かべてください。太陽光発電で儲けようとしている孫社長のような事業者の言いなりの価格、あるいはそれ以上の買い取り価格になっているのですから驚くではありませんか。<br /><br /><br /><b>お手盛りの業者要望価格すら上回る大盤振る舞い<br />再生エネ発電が増えれば家計と企業の料金負担が増える</b><br /><br />　業者の買い取り希望価格は発電事業を成功させる、あるいは発電事業で儲けるためにお手盛りで高く設定されているはずです。お手盛りの業者要望価格を上回る大盤振る舞いを「調達価格等委員会」は行ったことになります。その業者の超過利得を含め買い取り費用はすべて電力消費者に自動的に転嫁される仕組みになっています。<br /><br />　買い取り費用がどのように電力料金に上乗せされるかその計算式は明らかではありません。代表的な火力発電であるLNG（液化天然ガス）発電の発電コストは10.7～11.1円（11年12月、「コスト等検証委員会」試算）です。LNG火力の発電コストの2倍から5倍の値段で再生可能エネルギー発電を電力会社は全量買い取る（住宅用太陽光発電は余剰電力のみ）のです。このLNG発電など火力発電コストを上回る再生可能エネルギー発電の購入費用部分が自動的に電気料金に上乗せされることになるでしょうか。<br /><br />　経産省は「全量買い取り制度発足の初年度での一般利用者の電気料金上乗せ幅は1kwh当たり0.2円～0.4円になると試算しています。電気料金支払いが月額7000円の標準家庭で月60円～120円の負担増になるという計算です。<br /><br />　月に最大で120円ぐらいの負担で済むのならクリーンな再生可能エネルギー発電をもっと進めてもよいという読者もいるでしょう。早とちりしないで下さい。初年度は再生可能エネルギー発電の比率が極めて小さいから負担が少額なのです。この業者希望を上回る買い取り価格によって再生可能エネルギーの導入が促進されれば再生エネ発電の買い取り金額はどんどん増えます。その買い取り量に比例して電力料金の上乗せ額は膨らみ消費者の料金負担が拡大します。特に買い取り価格が高い太陽光発電の発電量が増えれば増えるほど消費者の負担は拡大します。<br /><br />　植田和弘委員長は「再生エネを推進するのがこの制度の趣旨だ」（「朝日新聞」4月26日付け）と述べ、業者よりの高い買い取り価格を気にする風もありません。しかし再生エネ買い取りで先駆したドイツでは高い買い取り価格を設定したため普及は進みましたが、家庭の太陽光発電の買い取りのための負担は年平均約70ユーロ（約7500円）にまで拡大しました。この家庭の負担が重過ぎるとして今年4月から買い取り価格の値下げを始めたといいます。<br /><br /><br /><b>買い取り価格の算定は悪名高い「総括原価方式」と同じ<br />7～8％という高い「適正利潤率」が保証される業者</b><br /><br />　「調達価格等算定委員会」によれば、買い取り価格は「効率的に供給される場合に通常必要とする費用、及び適正な利潤を基礎に算定することにした」としています。家庭用電気料金を決める悪名高い「総括原価方式」も費用に適正利潤を上乗せして料金を決める方法です。再生エネの買い取り価格も同じような方式なのです。<br /><br />　まずその「適正な利潤」ですが、ドイツやスペインを参考に金利差を考慮して決めたと算定委員会は述べています。そのうえで施行3年間は業者の利潤に特に配慮するというのです。具体的にはドイツ、スペインの適正利潤に1～2％程度を上乗せして初年度の標準的な適正利潤を7～8％とするとしています（下表参照。事業リスクの高い地熱発電の適正利潤率はずば抜けて高い）。<br /><b><br /></b><div align="center"><b>買い取り価格に含まれる適正利潤率</b>（税前、％）<br /><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="hyo2.JPG" src="http://www.quon.asia/yomimono/business/oonishi/2012/04/27/entryimg/hyo2.JPG" class="mt-image-none" style="" height="45" width="434" /></span><br /></div><br />　ちなみに「法人企業統計」によると平成22年度の売上高経常利益率（上表の税前適正利益率に相当）は製造業が3.9％、非製造業が2.8％に過ぎません。民間企業が必至に稼いでも3～4％の利益率しか上げられないのです。再生エネルギー発電に参入すれば7～8％という高い利益率が保証されるのです。この利潤も企業、家計の負担なのです。植田委員会はここからすでに業者に大盤振る舞いしているのです。<br /><br /><b><br />低コスト立地の再生エネ業者には過大な超過利潤<br />本当に買い取り価格を毎年見直してくれるのですか</b><br /><br />　もうひとつは費用の見積もりです。「コスト等検証委員会」で議論された費用に、(1)事業者側が負担する送電網への接続費用、(2)土地の賃借料、(3)法人事業税を加味したものとしています。「検証委員会」が昨年12月に算出した再生エネルギー発電の新しい発電コスト（冒頭表の最下段）が費用計算の基礎になっていますが、実際の費用見積もりは業者へのヒヤリングを通じて提示された費用が参考にされたようです。ここでもお手盛りが横行しているようです。<br /><br />　冒頭の表に戻っていただきたいのですが、「検証委員会」がはじいた発電コストにはいずれも幅があります。太陽光発電の発電コストは立地・自然条件などによって30.1円から45.8円までコスト差があります。立地・自然条件にコストが異なるのは風力も地熱も同じです。<br /><br />　しかし買い取り価格は発電コストに関わらず同じです。コストの安い太陽光発電所は居ながらにして超過利潤を得られるのです。企業、家計の負担で。これも変ですね。その公定価格がメガソーラーでは20年間保証されるのですからこんな美味しい話はありません。<br /><br />　最後にもうひとつ、買い取り価格は毎年見直すことになっています。だったら「施行後3年間は利潤に特に配慮する」などといわないで欲しい。太陽光発電を例にとれば、中国メーカーの低価格攻勢と欧州の太陽光発電投資の失速によって太陽光パネルやモジュールの価格が暴落しています。発電コストの多くを占めるパネルやモジュール価格の下落による発電コストの低下はすぐにでも買い取り価格に反映すべきです。毎年のコスト検証も怠りなく、願います。<br /><br />　さらに経産省の外郭団体・「新エネ・産業技術総合開発機構」の「太陽光発電ロードマップ」（09年6月策定）によれば、太陽光発電の発電コストは2020年に1kwh当たり20円、2030年に7円へ劇的に低下する（これを元に菅前総理は脱原発依存をぶちあげた）ことになっています。この技術進歩の成果も毎年、必ず買い取り価格に反映してください。<br /><br />　再生可能エネルギー導入を進める業者が得る過剰な「利潤」もその元になる過大に計上された「費用」、その結果のすべてを電力消費者、すなわち企業と家計が負担するのです。ついでにいいますが、電力会社の発電コストの詮索には人一倍厳しい自然エネ論者が、再生可能エネルギー発電の利潤やコスト計算にはことのほか甘いとすれば、我田引水が過ぎるというものです。]]></description>
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            <pubDate>Fri, 27 Apr 2012 14:25:58 +0900</pubDate>
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        <item>
            <title>「去り逝きし人々」が気になる ―67歳の誕生日雑記</title>
            <description><![CDATA[（2012年4月20日筆）<br /><br />　昨日の4月19日は小生の67度目の誕生日でした。この歳になると誕生日は残された余命を数える日というぐらいの感想しかないのですが、自らの余命を考える時、気になるのは自分が過去に触れ合ったというか、すれ違ったというか、多少たりとも関係を持った人々の訃報です。<br /><br />　小生にとって新聞の死亡欄を見ることは毎日欠かせない作業になっています。新聞の死亡欄に載るぐらいですから生前はそれなりの社会的地位にあった人です。特に死亡欄に掲載された経営者、元高級官僚、経済学者、評論家、ジャーナリストのお名前が気になります。かつて経済誌の記者、編集長、単行本の編集者として触れあい、記憶に刻まれた人々だからです。<br /><br /><br /><b>三重野元日銀総裁はバブル崩壊不況を生んだ「疫病神」？<br />責められるべきはバブルを生んだらした前2代の日銀総裁</b><br /><br />　直近では、もちろん三重野康・元日銀総裁の死亡記事です。三重野氏の総裁在任期間は1989年12月から1994年12月までの5年間でした。小生が「月刊金融ビジネス」の編集長、「週刊東洋経済」の編集長であった時期と重なります。<br /><br />　三重野総裁は就任直後、第3次公定歩合の引き上げに踏み切りバブル退治に乗り出しました。これが世間の喝采を浴び、池波正太郎の小説「鬼平犯科帳」の主人公である江戸の火付盗賊改方・長谷川平蔵にあやかって三重野氏は「平成の鬼平」と呼ばれました。<br /><br />　余談ですが、この「平成の鬼平」の名付け親は「激辛評論家」といわれる佐高信さんだったと記憶しています。小生、週刊東洋経済の編集長当時、佐高さんにはコラムを書いていただいていましたから。「激辛」の佐高さんにご登場いただくぐらいですから、小生の編集方針も三重野総裁の金融引き締め路線への賛意を込めた、バブル批判色の濃いものでした。<br /><br />　しかしこの三重野総裁の第3次公定歩合の引き下げがその後の「失われた15年」ともいわれる長期不況をもたらす端緒となり、三重野氏は、こんどはバブル崩壊不況をもたらした「疫病神」と批判される始末でした。<br /><br />　正常値をはるかに越えた地価と株価の高騰をバブル（泡）現象といいますが、バブルは膨れすぎると自然に破裂するものです。自然に破裂するまで待っていればバブルの規模が大きくなりその破裂後の経済の落ち込みは甚大なものになります。三重野氏はバブルが膨らみ過ぎない前に手を打ったのですがすでに遅かったのではないでしょうか。バブルはすでに膨らみ過ぎていたのです。三重野氏を「疫病神」呼ばわりするのはお門違いというべきでしょう。<br /><br />　ついでに言いますが、現在の1％以下という長期国債利回りは日本国債が理屈を越えて買われ過ぎている状態、つまり「国債バブル」の状態を示しているといってよいでしょう。世界最悪の国債累増状態にもかかわらず、原子力発電と同じで日本国債にも安全神話が取り憑き、日本国債は破裂寸前まで買い上げられています。原発の安全神話を問題にする政治家が日本国債の安全神話を疑わないのは不思議な光景です。原発事故の「想定外」は許さないが、国債暴落という「想定外」は許されるのでしょうか。<br /><br />　責められるべきは、プラザ合意後、円高不況に脅え内需拡大論を提唱して長期にわたる金融緩和を続けた前川春雄氏、バブルが膨れ上がるのを知りながら公定歩合引き上げのタイミングを遅らせてしまった澄田智氏、三重野氏の前に日銀総裁をつとめた2代の総裁だと思います。バブルを生んだ日銀総裁こそ問われるべきです。<br /><br /><br /><b>日本に「近代経済学」をもたらした館龍一郎氏も逝去<br />今隆盛の「量的緩和」積極論者をどう見ておられたか</b><br /><br />　前川、澄田総裁当時、政府の金融制度調査会会長だった館龍一郎先生（元東大教授）もこの2月に90歳で亡くなられました。館先生には、週刊東洋経済の臨時増刊「近代経済学シリーズ」の若い編集者だった当時、よくお会いしました。館先生は、マルクス経済学が猛威を振るった戦後、同じ東大経済学部教授だった小宮隆太郎先生（ご健在です）と手を携え、新古典派総合といわれた当時の国際標準の「近代経済学」を日本にもたらした一級の経済学者でした。数多くの経済学者が論争好きで手厳しい小宮先生、物静かだが芯の強い館先生に育てられました。<br /><br />　館先生は前川、澄田総裁当時のバブル発生、膨張につながった日銀の金融政策には直接関係はありませんでした。しかし当時の金融制度調査会会長だったご経験から現在の量的緩和政策や国債の日銀引き受けにまで及ぶ日銀の金融政策をめぐる議論をどう見ておられたか、お聞きしたかったと思っています。館先生や小宮先生のお弟子さんの中には日銀の量的緩和やインフレ目標導入に極めて積極的な論者が見受けられます。成長力が衰弱している経済では量的緩和マネーは企業や個人への投融資に回らず、株式や不動産、国際商品への投機に向かい資産インフレ、つまりバブルを引き起こすリスクを内包しています。日本の1980年代後半のバブルの経験は果たして無視できるものなのでしょうか。<br /><br /><br /><b>景気の先行きを見誤った小生を叱咤した社長も逝去<br />栃木県の用水路で亡くなった元プレジデント編集長</b><br /><br />　話を前後しますが、バブル潰しのほうに傾いた小生の編集方針もまた、三重野総裁と同じように大きな批判を浴びることになります。その批判は社内からでした。当時の東洋経済新報社社長は小生を「週刊東洋経済」の編集長に取り立てた中島資皓さんでした。その中島さんに「君が部数を多少増やしたことは評価するが、景気の先行きを見誤ったことは東洋経済の歴史的汚点になる」といわれたことがあります。<br /><br />　当時、エコノミストの間でバブル崩壊不況の進展に対して、「景気の水準はまだ高い」として経済の先行きを心配しない論者がいました。当時、経済企画庁にあって随一の官庁エコノミストといわれた吉富勝氏（ご健在です）がその代表でした。一方、「景気の下降に向かっている」という「景気の方向」を重視する民間エコノミストも少なくありませんでした。<br /><br />　結局、小生と景気担当の副編集長（現在の東洋経済新報社社長）は吉冨説に賛同し「景気楽観論」をぶったのですが、それが君の間違い、歴史的汚点だと中島社長（当時）は指摘されたのです。その後の「失われた15年」というか、日本経済のはなはだしい衰弱ぶりを見ていると、中島さんの指摘も当を得たものだったと深く反省しているところです。その中島資皓さんも、昨年8月24日、80歳で永眠されました。新聞の死亡欄には死因は「老衰」とありました。この死因をみて日本の「老衰」を思い浮かべてしまいました。<br /><br />　この3月21日、もう1人去って往った知人がいます。元プレジデント編集長の樺島弘文さんです。ロードレース用の自転車に乗ったまま栃木県大田原市郊外の用水路に頭を突っ込み死んでいたと報じられました。死亡記事によると死因は水死ではなく急性虚血性心不全だったそうです。<br /><br />　彼は、たしか小生が「週刊東洋経済」編集長当時の「プレジデント」編集長だったと記憶しています。彼は編集長を終えた後ほどなく、田舎暮らしをするといってふいと東京からいなくなりました。バブルは都会の爛熟をもたらしこれを嫌う人々が田舎暮らしに夢を持つようになりました。小生もその熱に浮かされ屋久島に田舎暮らしを求めて家内と出かけたことがあります。小生は決断できませんでしたが、編集長仲間だった樺島さんは田舎暮らしに決然と踏み切ったのです。そして20年、その彼の訃報がネット上から届いたのです。<br /><br />　驚いたのは今朝4月20日付けの日経朝刊です。2面下に<a target="_blank" href="http://str.president.co.jp/str/book/detail/BK002006/">『小林陽太郎－「性善説」の経営者』</a>という書籍の広告が大きく掲載されていました。その著者がなんと亡くなった樺島弘文さんだったのです。生前脱稿した著書が死後に発売され広告されたことになります。著者が書いた富士ゼロックス会長の小林陽太郎さんも穏やかで聡明な経営者でした。樺島さんは自分に似た経営者を描き切って突然死したのでしょう。冥福を祈ります。 ]]></description>
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            <pubDate>Fri, 20 Apr 2012 13:45:48 +0900</pubDate>
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            <title>「派遣村」村長は政府に入って何を見たか</title>
            <description><![CDATA[（2012年4月13日筆）<br /><br />　湯浅誠氏は2008年末、日比谷公園に「年越し派遣村」を作り自ら村長に納まって「反貧困」の社会運動を展開した人物です。湯浅氏は社会運動家としては珍しく2度にわたって内閣府参与として民主党政権に参画しました。その社会運動家が内閣府参与として見た政府の現実を本日の「朝日新聞」（2012年4月13日朝刊）で率直に語っています。<br /><br />　小生、湯浅氏には必ずしも良い感じを持っていたわけではありません。「年越し派遣村」は、「派遣切り」を告発することで労働者派遣法を製造業に広げた自公政権批判に直結しました。それもひとつの要因となって、翌年の09年衆院選挙で当時の麻生政権は敗北、弱者を取り込んだ民主党に政権が移行しました。<br /><br />　しかし、政権移行後、民主党が掲げた子供手当、高校授業料の無償化、農家の個別所得保障、最低保障年金などの現金分配政策は財源の根拠を欠き選挙目当てのバラマキ公約であることを露呈しました。民主党はマニフェスト原理主義者（その実は選挙至上主義者）を党中に抱え財源確保という政策修正（消費増税）もままならない状態に堕ちいり、日本の政治は混乱を極めています。<br /><br />　もうひとつ、「年越し派遣村」の後、働かない、働けない、もろもろの生活困窮者が、湯浅氏が最後のセーフティネットと位置づける生活保護制度に駆け込み、その結果、生活保護費が急増しました。高齢や病気で働けない、母子家庭で所得が少ない所帯が生活保護を受けるのは当然ですが、健康で十分働ける「生活困窮者」が生活保護費を受け医療費も無料という状態は許せるものではありません。<br /><br />　湯浅氏らが開いた「年越し派遣村」は、彼らが意図したかどうかは別にして、ポピュリズム（大衆迎合）とバラマキ政治を許容し「自己責任」否定の社会ムードを助長したという意味で、小生には首をかしげざるを得ないものに映っていました。<br /><br /><br /><b>「あちら側」は複雑な利害調整の場だった<br />何かを増やすには何かを削らざるを得ない</b><br /><br />　しかし、その湯浅氏が「朝日新聞」の質問に答えて語った感懐には、深くうなずかせるものがありました。湯浅氏は社会運動家としての自らを、問題を世の中に提起し世論を喚起する「こちら側」といい、その問題提起を調整し解決する政府を「あちら側」と位置づけて、「あちら側」の参与になって分かったことをこう言っています。<br /><br />　「参与になって、『あちら側』が複雑な調整の場であることが分かりました。政治家、官僚、マスコミ、圧力団体などが複雑に絡み合い、限られた財源の中で何かを増やすためには何かを削らざるを得ないというルールの中で、みんな必死に働きかけている」（「朝日新聞」2012年4月13日の「耕論」―政権を出た派遣村村長より引用。以下同じ）<br /><br />　「あちら側」、つまり政府は社会のあらゆる勢力が抱える複雑な利害を調整する場であるという湯浅氏の発見は、大いにうなずけるものです。しかも、その利害調整が、巨額の財政赤字を抱えている日本政府においては「何かを増やすためには何かを削らざるを得ない」という重い現実があることに湯浅氏が気付いたことにも彼の真摯な姿勢を感じます。<br /><br />　社会保障であれ何であれ、予算には財源の制約があり、予算の組み換えは誰かの犠牲のうえに成り立つというのは当たり前のことですが、それに湯浅氏のような優れた社会運動家が思い至ったことに大きな意味があると思います。<br /><br /><br /><b>「俺は悪くない・悪いやつはあいつだ」では済まされない<br />弱者救済の立場の人も圧力団体、利害調整の当事者だ</b><br /><br />　そのうえで彼は以下のようにも言っています。<br /><br />　「（実際に参与として）調整を担うと、原理原則を言っているだけでは済まなくなる。これまでは往々にして『俺は悪くない。悪いのはあいつだ』で済ませてきた。私たちも調整の当事者である、主権者の1人であることを忘れていました」と。<br /><br />　「私たちも調整の当事者である」という言葉が重要です。湯浅氏は「弱者救済こそ正義、悪いのは派遣切りを放置する大企業寄りの政府だ」と考えていたのでしょうが、そう主張する社会運動家といえども、社会の中の弱者ないし低所得者を代弁する単なる圧力団体（利害関係者）に過ぎないと認めざるを得ないと彼はいっているのです。<br /><br />　非正規雇用にシフトする企業側にも国際競争から堕ちこぼれないためという理由があります。非正規雇用で労務コストをセーブして倒産を防ぎ雇用を守ろうとする経営者もひとつの正義なのです。彼がそこまで理解できたかどうか分かりませんが、自らを圧力団体の一員であることを認めるのは勇気がいったと思います。その彼の勇気に敬意を表します。<br /><br />　そして、「原理原則を持っていることは大事ですし、政権批判も大いにやるべきです。しかし原則的な立場を堅持していれば原則が実現するわけではない。課題によっては調整や妥協をしながら取れるところは取っていく」と結論付けています。同じ消費増税賛成の立場にありながらなぜか調整も妥協もしない谷垣自民党総裁などにも聞かせたい言葉です。<br /><br /><br /><b>橋下氏は「1をとって9を捨てられる強いリーダー」<br />決めてくれればその政策の方向性はどうでもいいのか</b><br /><br />　もうひとつ、湯浅氏は議会制民主主義に関して聞くべき重要な発言をしています。小生は、この発言にも感心させられました。<br /><br />　「1億2千万人が住んでいる社会はそもそも複雑なものです。議会制民主主義は、10ある利害をできるだけ切り捨てないようにして玉虫色の結論を出すシステムです。一方で今待望されているのは、10の利害から1をとって9を捨てられる強いリーダーですね。しかしそこで切り捨てられるのは誰か。おそらく私たち（貧困層？　筆者注）でしょう」<br /><br />　「この1をとって9を捨てられる強いリーダー」が今飛ぶ鳥を落とす勢いの大阪維新の会の橋下徹大阪市長を指すことはいうまでもありません。小沢一郎氏、石原慎太郎氏も国民の「強いリーダー」願望に乗ろうとしている政治家です。しかし、政治思想や政策の中身を吟味もせず「強いリーダー」を求める風潮が社会の隅々まで染み渡っているのは危険なことです。これを湯浅氏は批判しているのでしょう。湯浅氏は橋下徹現象についてこう言っています。<br /><br />　「橋下さんが支持を集めているのは『決めてくれる人』だからで、その方向性は問われません。『おまかせ民主主義』の延長線上に橋下さんへの期待がある」と。<br /><br />　「その方向性」とは政治思想、政策の方向を示します。橋下氏の方向性が「自立する個人」「自立する地域」「自立する国家」という政治思想にあることは明白です。「自立」は自己責任と同意語です。国家（つまり他人の支払う税金）に依存することに慣れきった国民を、自己責任で生きる国民に鍛えなおすと橋下氏の維新の会は言っているに等しいのです。<br /><br />　その政治思想の具体化が、税制ではフラットタックス（一律税率の所得税、累進税廃止）や消費税の地方完全財源化です。社会保障面ではベーシックインカム（国民への一律最低生活費給付）の導入による基礎年金、失業給付、生活保護などの廃止、一本化です。地下鉄や市バスの民営化や教育への競争原理の導入も橋下政策の骨格をなします。「自立する国家」を実現するために核武装に行き着くこともあり得ると言えるでしょう。<br /><br />　こうした政策も、「決めてくれる強いリーダー」である橋下氏に完全にお任せしてしまうのか、と湯浅氏は問うているのです。「議会制民主主義には改善すべき点が多々ありますが、複雑なものをシンプルにしよう、ガラガラポンしてしまおうという欲求の高まりには危機感を覚えます」と付け加えていますが、この危機感は小生も共有するところです。<br /><br />　議会制民主主義は時間がかかってまだるっこしいものです。しかし、政治家たちが自分の選挙のことから離れ、合意と妥協の作法さえ見に付けることさえできれば、議会制民主主義は複雑な民意を反映できる、抑制の効いた良い制度なのかもしれません。<br /><br />　最後に、湯浅氏は「『あっちの側』に期待するか、批判するかの違いはあれど、観客のような、評論家のような気分でいるという点では、橋下さんを支持する人たちと社会運動はともすると同じ図式の中にはまりこみかねない。どちらも民主主義の形骸化という意味の問題です」と自戒をこめて結んでいます。<br /><br />　評論家のような気分でいる小生も自戒をこめてこれに同意します。 ]]></description>
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            <pubDate>Fri, 13 Apr 2012 13:39:09 +0900</pubDate>
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            <title>東京電力は17％値上げの具体的根拠を開示せよ</title>
            <description><![CDATA[（2012年4月6日筆）<br /><br />　東京電力が政府の認可を必要としない企業向けなど自由化部門の電力料金の17％値上げを通告したことをめぐって、利用者の反発が強まっています。<br /><br />　埼玉県川口市は「鋳物の街」として知られていますが、その川口商工会議所が東京電力の一方的値上げ通告に対して独禁法違反の「優越的地位の濫用」に当たるとして公正取引委員会に提訴する方針だと報じられています。<br /><br />　マンホールなどの鋳物は電気炉で溶かした銑鉄を鋳型に流し込んで作りますが、くず鉄などの原材料を溶かす電気炉には大量の電力が必要です。製造原価の重要な構成要素である電力料金がいきなり17％引き上げられるのですから、値上げを一方的に通告した東電に対しては怒り心頭でしょう。<br /><br /><b><br />実質的な独占状態では「優越的地位の濫用」は必然<br />なのに東電に料金決定の自由が付与されている不思議</b><br /><br />　企業などに電力を供給している業者は東電のような一般電気事業者（9電力）と独立した特定規模電気事業者（PPS。現在、登録53社）の2系列ありますが、東電は首都圏の電力の95％以上を供給しておりほぼ独占状態にあります。<br /><br />　東電の値上げを機にPPSへの購入希望が殺到しました。発電能力が小さいPPSはすでに供給限界に達し、川口の鋳物業者は東電からしか電力を買えないという状態です。東電が電力供給において「優越的地位」にあることは明らかで、利用者への一方的な値上げ通告は優越的地位の濫用だと彼らは訴えているのです。<br /><br />　東電など9電力が電力供給を管轄地域でほぼ独占する「地域独占」の状態、つまり「優越的地位」を保持している状態は昔も今も代わりません。「地域独占」の場合、独占業者が「優越的地位」を濫用することを防ぐために公益を代表する政府がその料金決定に介入するのは当然です。実際、平成12年まですべての電気料金は政府による認可制でした。<br /><br />　しかし、平成12年から50キロワット以上の大口の電力利用者の料金決定は自由化されました。川口の鋳物業者やスーパーなど50キロワット以上の自由料金の大口利用者は全体の65％を占めます（50キロワット以下のコンビニや家庭など小口利用者の電力料金は経産省による認可制が続いています）。<br /><br />　これら65％の大口利用者がPPSなど他に選択余地のない状態で電力料金の決定が自由化されたことがそもそも問題です。実質的な「地域独占」状態にあるにもかかわらず料金決定が自由化されたのですから、東電が値上げは料金自由化の「権利」と言い放ち、値上げを飲まねば送電を止める（後に否定）というなど「優越的地位」を濫用できるのです。<br /><br />　ですから、電力会社が実質的な「地域独占」のもとで「優越的地位の濫用」が可能な状態にある限り大口利用者に対してでも料金を自由化するのは危険です。政府の料金決定への介入が必要です。料金の自由化を機能するには新規事業者をもっと増やす必要があります。<br /><br />　政府はPPSなど新規電気事業者の参入を阻んでいる9電力による送配電網独占の弊害（新規参入者への送電割当や高い送配電網の利用代金）を取り除き、新規電力供給者という十分な選択肢を電力利用者に与えてから料金の自由化を実施すべきでした。そもそも料金の自由化に無理があったといえるでしょう。<br /><br /><br /><b>役員報酬や従業員人件費など合理化でも足りない<br />そうなら「17％値上げ」の具体的根拠を開示せよ</b><br /><br />　それはさておき、小生、怒り心頭のはずの川口商工会議所・児玉洋介会頭の謙虚さと冷静さには感銘を受けました。児玉会頭は「実質的には東電の選択肢以外の選択肢がなく独禁法違反は明らか」と述べる一方、「やみくもな（値上げ）反対ではなく17％値上げの根拠が不透明だと指摘しているのです」と語っていました（「産経新聞」4月5日配信）。<br /><br />　税金であれ電力料金であれ、値上げは誰でも厭です。しかし、その公共的な値上げには値上げをしなければ公共サービス（あるいは電力供給）を維持することができなくなるというような理由があるはずです。そしてその公共サービス（あるいは電力供給）を維持するためにどの程度の値上げが必要か、その合理的根拠を利用者（あるいは納税者）に示すことが必要です。<br /><br />　電力のような実質的な「地域独占」の場合、値上げの合理的根拠は政府に提示され、政府が利用者に変わって合理的であるかどうか判断し料金値上げを採否するという手続きを踏むことができますが、それが料金の自由化でできなくなってしまった。とすれば、次善の策ではあるが電力会社自ら「17％値上げの根拠」を開示すべきだと児玉会頭はいっているのです。まさに正論です。<br /><br />　東電は、「17％値上げの根拠」は発電用の燃料費負担の増加だと言っていますが、天然化ガスか石炭か、どの燃料費がいくら増加したのか、増加した燃料費をどの程度自社の合理化努力で吸収するのか、値上げができなければ電力供給にどのような影響がでるのか、その具体的根拠を全く示していません。このような具体的根拠が全く明らかにされないまま一方的に値上げを飲めといわれても交渉にはなりません。これでは値上げを飲めるはずがありません。<br /><br />　東電は最近ようやく値上げの根拠のようなものを説明し始めました。「経常費用の42％が燃料費、14％が購入電力費、14％が設備資本費、5％が納税費が占め、合わせて費用の65％は合理化不可能な費用です、このうち燃料費と購入電力費の燃料費関係費の増加分を値上げでご負担いただきたい」というのが東電の説明です。<br /><br />　「みんなの党」はじめ一部の政治家は「値上げの前にやることがあるだろう」というのが口癖ですが、この点についても東電は答えを用意していました。東電は「合理化可能なのは経常費用1.5兆円ですが、そのうち7％が人件費、5％が修繕費、14％が『その他費用』です。これらを今後10年間で2.6兆円削減（年間2600億円）する計画ですが、その半分は人件費削減です」と応えていました。<br /><br />　これには代表取締役は報酬ゼロ、取締役報酬は50％削減を筆頭に従業員給与の引き下げ、年金支給のカットなどが含まれます。他にも7074億円の不動産売却や子会社の整理などかなりの内容の合理化が進められています。もう一段の切り込みと計画実行への厳しい監視が必要ですが、こうした合理化を実施しても燃料費の値上がり分を到底吸収できないから東電は17％の値上げが必要だといっているのです。<br /><br /><br /><b>原発の稼動停止でどのくらい燃料費は増加したのか<br />なぜ肝心な燃料費の増加額、増加要因を開示しない</b><br /><br />　しかし東電は、肝心の燃料費の増加額と増加要因をうやむやにして開示していません。天然ガスや石炭火力など化石燃料を燃焼させ発電する通常の火力発電所の場合、価格変動に伴う燃料費の増減は自動的に料金に転嫁される仕組みになっているはずです。ですから17％の料金値上げは、福島原発事故以来、停止状態に順次入っていった原発に代わって再稼動した火力発電所の燃料費増加分の転嫁ということになります。<br /><br />　では、稼動停止原発の核燃料費はいくら減り、再稼動した火力発電所の化石燃料費はいくら増加したのか、その結果、トータルでいくら燃料費が増加したのか、それをまず開示しなければならないでしょう。こうして算出された燃料費の増加が年間2600億円（前述の10年間2.6兆円の1年分）の合理化効果を大きく上回るから17％もの値上げが必要になるという計算になります。<br /><br />　東電は福島原発放射能事故による被災者への損害賠償費用（現在は約2.5兆円）は国からの借入金で賄うので経常費用の別枠だ、値上げの要素には含まれないと言っています。しかし、国への借金返済資金は東電が将来獲得する利益（正確にはキャッシュフロー）から捻出されるはずですから、利益獲得（黒字化）のための料金値上げは実質的に損害賠償費用にも充当されることになります。<br /><br />　小生は損害賠償費用が料金値上げの一部に含まれることを非難しているわけではありません。福島原発の電力に依存し長い間その恩恵にあずかった関東の住民として、料金値上げで被災者への賠償費用のほんの一部を負担することを拒むものではありません。<br /><br />　しかし、火力発電所再稼動に伴う燃料費増加による値上げなのか、賠償費用負担を含む値上げなのか、はたまた他の理由が17％値上げ（家庭向けは10％）の中に含まれるのか、明らかにするのが東電の最低限の責任です。電力の独占供給者にもかかわらず料金決定の自由を獲得しているのですから。値上げ根拠の開示を東電がやらないというのなら、電力料金の自由化部門であれ政府が料金決定に関与すべきです。 ]]></description>
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            <pubDate>Fri, 06 Apr 2012 11:51:45 +0900</pubDate>
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        <item>
            <title>なぜわが日本の総理は韓国大統領の後塵を拝すのか</title>
            <description><![CDATA[（2012年3月30日筆）<br /><br />　韓国・ソウルで開かれた第2回目の核安全保障サミットでは、野田佳彦総理は、オバマ大統領など12カ国の首脳と5分以内の「立ち話」の懇談になんとかこぎつけたと「朝日新聞」（3月28日朝刊）は報じました。<br /><br />　ただ、各国首脳に名前も顔も十分には覚えられていない野田総理です。「立ち話」程度では懇談相手の首脳が聞く耳を持つはずがありません。一方、ホスト国の韓国・李明博大統領は、米国・オバマ米大統領、ロシア・メドベージェフ大統領、中国・胡錦濤国家主席と相次いで2カ国会談を重ねました。十分時間を取っての熟議だったようです。<br /><br /><br /><b>野田総理は「国会審議に毎日呼ばれて磨耗する」<br />その結果、各国首脳と5分間の「立ち話」</b><br /><br />　思い出すのは、2年前、ワシントンで開かれ初回の核安保サミットでの屈辱です。このサミットでは、米軍普天間基地の移転問題で迷走を重ねた鳩山由紀夫総理（当時）がオバマ大統領に首脳会談を断られ、夕食会の席上での10分間の「臨席懇談」でお茶を濁されてしまいました。米国のジャーナリズムからは「日本が参加国最大のルーザー（敗者）」と評される始末でした。<br /><br />　野田総理の場合、鳩山元総理ほどの失策はなく愚かでもありません、時間さえあればオバマ大統領とも会談できたはずです。しかし、ご本人が言うように「日本のリーダーは国会審議に毎日呼ばれて磨耗する」仕組みになっており、首脳会談に時間を割くことができないのも事実でしょう。<br /><br />　李大統領が精力的に首脳会談をこなしている最中、野田総理は参議院予算委員会で北朝鮮のミサイル発射問題に関して自民党など野党の追及を受けていました。なんだか本末転倒、核安保サミットで国内より先に北朝鮮のミサイル発射問題を国際間で話し合い、それを持ち帰って国会で論議すべきです。<br /><br />　しかも野田総理を足止めまでした参議院での議論は聞くに堪えない内容でした。北朝鮮ミサイルの迎撃体制をめぐる田中直紀防衛大臣の答弁をいつものようにあげつらい政争の具に供する始末でした。能力が疑われる田中防衛大臣を登用したのは野田総理ですが、田中氏は小沢グループから送り込まれた人材です。本人は意識していないでしょうが、田中直紀氏は不勉強をさらすことで結果として野田総理を追い詰める役割を小沢グループから与えられていることになります。<br /><br /><br /><b>田中防衛相を筆頭に不勉強な小沢グループ<br />果てしない党内抗争が外交の足を引っ張る</b><br /><br />　そういえば、すでに解任された「（防衛問題には）素人ですから」発言の一川保夫前防衛相も「マルチ商法疑惑」の山岡賢次消費者担当相も小沢グループでした。小沢グループには閣僚にふさわしい人材など1人もいないのですね。小沢一郎氏には田中氏、一川氏、山岡氏のような不勉強な議員でも「数は力なり」なのでしょうね。<br /><br />　ベテラン議員の一川氏らですらそうなのですから一年生議員の小沢ガールズに政策など分かるはずがありません。ですから彼らは、御大の小沢氏が「財源はいくらでもある」（増え続ける社会保障支出をまかなう恒常的な財源がどこにあるのか、彼は一切明らかにしていません）といえばごもっとも、「消費増税はマニフェスト違反」といえばおっしゃるとおりと鸚鵡返しの返事しかできないのでしょう。小沢氏肝いりの「09年マニフェスト」の主要政策が財源、政策効果の両面からすでに破綻していることすら彼らには理解できないようです。<br /><br />　そんな不勉強な小沢グループが、10％への消費税増税を訴え代表選挙で勝った野田総理が政治生命を掛けて取り組んでいる「社会保障と税の一体改革」を潰そうとしているのです。代表選の勝者が唱える「一体改革」に反対なら小沢グループは離党すべきでしょう。しかし彼らは離党せず果てしない党内抗争を仕掛けているのです。その狙いは、小沢氏による党内権力の奪取、政党交付金の独り占めによる勢力維持にしかないといってよいでしょう。<br /><br />　この国際感覚なき果てしない党内抗争もまた、野田総理に5分間の「立ち話」外交を余儀なくさせる大きな原因になっているのです。<br /><br /><br /><b>李大統領に与えられた「熟議の時間」<br />なぜ日韓首脳の扱いにこれほど差がついたのか</b><br /><br />　国内の政争に手足を縛られ野田総理が「立ち話」外交に終始したことは国益を損ずる事態です。これに対し韓国の李大統領には各国首脳から「熟議の時間」が与えられました。いまや李大統領とオバマ大統領との関係は、中曽根・レーガン、小泉・ブッシュの関係にも劣らない親密さだそうです。李大統領は、ロシアのメドベージェフ大統領とも懇意の間柄だというではありませんか。李大統領は核安保サミットで国益をさらに高めることができたに違いありません。<br /><br />　韓国の人口は約4900万人、日本の3分の1以下です。成長著しいとはいえ韓国の名目GDP（国内総生産）は約1兆ドルでまだ日本の5分の1以下にとどまります。しかし、韓国の大統領・李明博氏への国際社会の扱いは、野田総理、ひいては日本の総理の扱いの5分の1ではなく5倍にもなるように思えます。なぜ日韓トップの扱いにこのような差が付いてしまったのでしょうか。<br /><br />　自民党単独政権が崩壊した細川政権以降、自公連立で安定政権を築いた小泉内閣を除き、歴代の総理は短命に終わりました。連立内、党内の政争が繰り返され次から次へ総理が取り替えられたのです。与党、野党を問わず政治家の多くは、小異にこだわるあまり国民のために大同に付くという作法を身に着けることを怠ってきた結果ですが、そのトガが国際交渉の場に出たというべきでしょう。毎年変わる日本の総理などとは不安で付き合っていられませんから。<br /><br />　一方、韓国は大統領制で李大統領は4年の在任が保証され、他国の首脳も安心して相談を持ちかけられます。これが積もり積もって日韓トップの扱いの差になったというのが定説です。<br /><br /><br /><b>韓国は開かれた貿易立国の道を選んだ<br />その結果、国連事務総長も次期世銀総裁も韓国系</b><br /><br />　しかし、それだけではないと思います。韓国が1987年のアジア金融危機以来、国際的に開かれた貿易立国の道を選んだという政治の決断が大きいのではないでしょうか。「日本は内需が豊かだが、内需に期待できない韓国は外需、つまり輸出で生きていくほかない」とアジア金融危機以降の歴代大統領は決断したのです。韓国はグローバルな自由経済の中に生きる道を選択したのです。<br /><br />　ですから韓国は昨年7月に対EUでもFTAを発効させました。李大統領は過去の歴代大統領の考えを受け継ぎ国内農業者の反対を押し切って米韓FTA（自由貿易協定）を締結、今年3月、実施にこぎつけました（日本は米、EUとのFTAは未締結です）。次は日中韓FTA交渉ですが、国内政争に足を引っ張られて決断できない日本を外して「中韓FTA」の締結が先行する可能性すらあります。そうなると日本は世界の3大輸出先である中国、米国、EUで韓国の後塵を拝することになります。<br /><br />　米韓FTAは米韓双方に輸出拡大をもたらすものですが、とくに輸出倍増を国民に約束したオバマ大統領は李大統領に米韓FTAで借りを作ったようなものです。<br /><br />　そのお返しなのでしょうか、オバマ大統領は次の世銀総裁として米ダートマス大学学長のジム・ヨン・キム氏を推薦しました。キム氏は3歳で米国へ移住した韓国系の米国人ですが、韓国系を世銀総裁に推薦することで李大統領に敬意を表したに違いありません。国際機関の韓国人では国連事務総長になった元韓国外交通商部長官（外務大臣）の潘基文（バン・ギムン）氏をすぐ思い浮かべます。<br /><br />　もし世銀総裁にキム氏が就任すれば、韓国は国連事務総長、世銀総裁という国際社会の中核機関のポストを獲得することになります。日本人ではかつて緒方貞子氏が国連難民高等弁務官、松浦晃一郎氏がユネスコ事務局長に登用されました。現在は天野之弥氏が国際原子力機関（IAEA）事務局長として活躍しておられますが、日本人の登用は国連の中核ではない周辺機関に止まります。<br /><br />　韓国系人材が世界経済、外交の中枢にのぼることには同じアジア人として敬意を表します。その一方で小生は、内政一辺倒で反グローバル、国際標準から程遠い政治家たちによって日本の外交、経済上の国益がどんどん失われていくことを憂慮します。 ]]></description>
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            <pubDate>Fri, 30 Mar 2012 10:53:30 +0900</pubDate>
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            <title>キャッシュ残高8兆円のアップルに何を学ぶ</title>
            <description><![CDATA[（2012年3月23日筆）<br /><br />　経済誌編集長だった頃の経験から言えば、失敗した会社の特集など売れたためしがありませんでした。成功した会社の特集のほうが確実に売れます。読者が知りたいのは成功した会社の経営ノウハウだからです。<br /><br />　古くはソニー、ホンダ、松下電器（現パナソニック）、イトーヨーカ堂、近くはトヨタ、任天堂、ソフトバンク、直近ではファーストリテイリング（ユニクロ）、ファナックなどが売れ筋の会社特集ということになります。しかし、いま全盛のユニクロもファナックも四半期（3ヶ月間）ごとにおよそ1兆円ものキャッシュ（手許現金）を積み上げるアメリカのアップルには遠く及びません。<br /><br />　キャッシュ残高は主として毎期の営業成績（純利益）や効率の良い設備投資が原因で積み上がります。アップル社では高機能携帯電話端末「アイフォン」、タブレット型高機能情報端末「アイパッド」の2本柱が稼ぎに稼いでいます。にもかかわらず亡くなった創業者スティーブ・ジョブズ氏は17年間も配当を実施せず、昨年12月末までに976億ドル（約8.1兆円）ものキャッシュ残高を積み上げたようです。<br /><br />　このまま行くとどこまで積み上がるか分かりません。ジョブズ氏のあとを継いだティム・クック最高責任者（CEO）はこのうち450億ドル（約3.75兆円）を今後3年間で配当と自社株買いによって株主に還元すると表明しました。アップルの株価は2010年2月に200ドルを突破、直近の2012年3月19日には605ドルに上昇しました。2年と1ヶ月で株価は3倍、しかも多額の株主還元が得られるのですからアップルの株主は幸せですね。<br /><br /><div align="center"><b>アップルのキャッシュ残高はトヨタの4倍、ソニーの8倍</b><br /></div>
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="hyo.PNG" src="http://www.quon.asia/yomimono/business/oonishi/2012/03/23/entryimg/hyo.PNG" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" width="471" height="171" /></span>　それはさておき、かつて経済誌の売れ筋企画によく選ばれた日本の製造業の人気企業のキャッシュ残高（現金及び現金同等物、昨年12月末）と時価総額（3月21日現在）、従業員数（アップルは昨年9月末、他は12月末）をアップル社のそれと比べてみましょう（上表）。<br /><br /><br /><b>アップルの時価総額はトヨタの4倍、ソニーの27倍<br />アップルに純利益率は28％、ソニーは最高益でも4％</b><br /><br />　トヨタのキャッシュ残高はアップルの4分の1、パナソニックは8分の1しかありません。かつてトヨタ、パナソニックには「トヨタ銀行」、「松下銀行」といわれたキャッシュリッチ企業の面影はありません。<br /><br />　時価総額は会社の市場価値を表しますが、アップルの時価総額は日本最大であるトヨタ自動車の約4倍です。しかもアップルはトヨタの約5分の1の従業員数（連結ベース）でトヨタの4倍の市場価値を生み出しているのです。同じエレクトロニクス企業であるソニーと比べると、アップルの時価総額はソニーの27倍にのぼりますが従業員数はソニーの約3分の1にすぎません。<br /><br />　この彼我の差には驚きを禁じえませんが、彼我の差についてもうひとつの数字を挙げてみます。それは売上高純利益率です。アップルの2011年10～12月期の売上高純利益率は約28％でした。このアップルの売上高純利益率を日本企業が過去最高の純利益を計上した時点と比べてみます。<br /><br />　トヨタとソニーが最高純利益を計上したのはリーマンショック前の2008年3月期です。その決算期のトヨタの売上高純利益率は約9％、ソニーのそれは約4％に止まります。2009年3月期に最高純利益をはじき出した任天堂の、当時の純利益率は約15％でした。今2012年3月期に最高純利益が予想されるファナックの純利益率は28％です。<br /><br />　アップルの純利益率に肩を並べると評価できるのは09年3月期の任天堂、今期のファナックだけでしょう。トヨタ、ソニーは最高純利益を計上した決算期でもアップルの足元に遠く及びません。日本を代表するビッグビジネスの利益率の低さにはいまさらながら驚かされます。<br /><br />　アップルと日本のトップ製造業の間にあるこの収益力の差、ひいては市場価値（時価総額）の差はどこから生じているのでしょうか。<br /><br /><br /><b>「少品種大量生産」方式でスケールメリットを満喫<br />ファブレス（自社工場も持たない）方式にも利点</b><br /><br />　アップルが「アイフォン」や「アイパッド」などユーザーに熱狂的に受け入れられる革新的な製品を生み出したのに対して、ソニーを筆頭に日本のエレクトロニクス企業からは革新的商品が生み出されていないという点が第一でしょう。革新的商品は創業者であるスティーブ・ジョブズ氏の独創性の賜物だというのが定説です。ただ、アップルには製造から販売に至るまで、高い利益率をはじき出すことができるビジネスモデルが存在するという点も見逃せません。<br /><br />　「週刊東洋経済」（2012年3月24日号）の第2特集「アップルの"賞味期限"」では「アップル躍進の構造は極めてシンプルだ」と書いています。そのアップルのシンプルな経営方式を小生なりの解釈でかいつまんで紹介します。<br /><br />　まず、少品種大量生産という方式です。アップルでは全売上高の7割を「アイフォン」と「アイパッド」という2つの製品が占めます。さらにこの2製品に使われる主要部品は、基本ソフト（OS）が「iOS」、中核の半導体が「A5」シリーズ（製造はサムスン電子）という具合に全く同じものです。主要部品に同じものを使って少品種の製品を大量生産するのですから、スケールメリット（規模の利益）が生まれて当然です。<br /><br />　第2は、ファブレス（自社工場を持たない）生産の方式です。台湾の鴻海（ホンハイ）精密工業の中国工場がアップル製品を一手に受託生産していることはよく知られています。中国の受託生産工場で使用される電子部品のほとんどは、韓国のサムスン電子、LG電子グループ、日本の東芝、村田製作所、ソニー、TDKなどから調達されています。アップルはこれらを含め世界153社（1月13日に初公表）から部品を調達して受託生産に回すことになります。このサプライチェーン（部品供給網）の管理を担当してきたのがティム・クック新CEOでした。<br /><br />　クック氏が築いたサプライチェーンの管理・運営方式の詳細は分かりませんが、かつてのトヨタ生産方式に匹敵する極めて厳密なものだといわれています。管理・運営がうまければファブレス方式から多くのメリットを得られます。アップルは、工場建設に掛かる設備費用、工場運営に関わる人件費など固定化する危険がある費用を省くことができますし、膨大な資金負担も発生しません。一方、自らは新製品・新サービスの開発と販売に人的パワーを集中できます。<br /><br />　たぶん少品種多量とファブレスという2つのアップル方式が「純利益率28％」という製造業に例を見ない高い利益率をもたらしているのでしょう。<br /><br /><br /><b>日本勢は多品種ワンセットの一貫生産方式に拘泥<br />少品種で自社一貫生産のファナックに学びたいが......</b><br /><br />　それに引き換え日本勢は、系列、関連会社を含め素材、部品、製品、販売、サービスすべてを手掛ける「一貫生産方式」からいまだ脱却できない状態になります。手掛ける製品も数え切れません。電機・電子製品であれば電子レンジ、洗濯機、冷蔵庫から薄型テレビ、太陽電池パネルまで多種多様です。車であれば軽自動車、トラックから乗用車、スポーツカー、ハイブリッド車までグループですべて揃うワンセット方式を続けています。<br /><br />　アップルには「アイフォン」「アイパッド」が売れなくなって利益が急減するというリスクはつきまといます。生産の外部委託や部品の外部調達にもリスクはあります。任天堂は少品種多量生産、ファブレスで先駆しましたが、稼ぎの元だった携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」と据置型ゲーム機「Wii」の伸びが鈍ると一気に赤字に転落しました。<br /><br />　だからといってリスクが分散される多品種ワンセットの一貫生産がいいということにはなりません。多品種ワンセットでは人手と経費ばかりが嵩み利益率は低い状態をつづけざるを得ません。アップルは究極の成功例ですが、日本勢もようやく広げ過ぎ伸び切った戦線を縮小し始めましたがまだ足りません。選択と集中をもっともっと強め、体中に付いたぜい肉を落とすべきでしょう。<br /><br />　最後に、日本の製造業ではファナックに学ぶべきかも知れません。ファナックの製品は工作機械に据え付けるNC（数値制御）と自動車の生産や電子部品の加工に用いられる産業用ロボットが主力です。製品数が少ないのはアップルに似ていますが、開発からは生産まで一貫して日本国内で行っている点ではアップルとはまったく異なります。<br /><br />　日本勢もファナックにもっと学ぶべきですが、ファナックは秘密主義、ディスクローズ（情報開示）が悪く、ジャーナリズム泣かせの会社として知られています。ファナックがケーススタディーのむずかしい企業であることは、日本の製造業にとって誠に残念なことだというほかありません。]]></description>
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            <pubDate>Fri, 23 Mar 2012 09:55:03 +0900</pubDate>
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            <title>「埼玉県南部」を震源とする地震で目が覚めました</title>
            <description><![CDATA[（2012年3月16日筆）<br /><br />　今朝（3月16日）、確か4時20分頃だと思いますが、がたがた音を立てて数秒間の立て揺れが続きました。小生、昨年3月11日、2時46分、JR常磐線日立駅のホームで激しい揺れに遭遇、立っていられずホームの屋根を支える鉄骨に蝉のようにしがみ付いた経験しました。その後、多少の揺れには驚かなくなっていましたが、さすがに今朝の揺れには目が覚めてしまいました。<br /><br />　家内も図太い性格で多少の揺れには動じませんが、今朝はすぐ目を覚まし寝室に置いてあるテレビにスイッチを入れたようです。画面には地震を知らせるテロップが流れ、小生が住む所沢市も属する「埼玉県南部」（実は南部がどの地域を指すかよく分かりません。所沢市は埼玉県西部といわれる場合もあります）は震度3と表示されました。<br /><br />　震度3程度であれば、我が家に被害はないでしょう。小宅は数年前、外壁を御影石のタイルで覆い耐震補強（工事業者がそういいました）を済ませており、昨年の大地震でも書棚も食器棚も大丈夫でしたから。<br /><br /><br /><b>記憶がない「埼玉県南部」が震源地の地震<br />正確な震源地はさいたま市の北、春日部市あたり</b><br /><br />　そう思って安心していたら、次に流れたテロップにはギクリとさせられました。テロップは「震源地は埼玉県南部、震源の深さは100km」と表示していたのです。なんと震源地はわが所沢市も含まれる「埼玉県南部」というではありませんか。<br /><br />　最近頻発している地震ですが、震源地は茨城県沖とか千葉県東方沖とか昨年の大地震の余震域がほとんどです。東日本の内陸部でも震源地は長野や山梨、新潟に限定されていました。小生、所沢に住んで40年、「埼玉県南部」を震源地とする地震など記憶にありません。<br /><br />　「震源地は埼玉県南部」と聞いてすぐ思い浮かべたのは立川断層のことでした。立川断層は国が地震発生確率の高い7つの要警戒断層のひとつに挙げられています、ここが動けばマグニチュード7.4程度、震度6以上の地震が発生するとされています。<br /><br />　立川断層は、北は入間郡名栗村から青梅市、立川市を経由して南は府中市に至る33キロの断層だそうです。所沢市は断層上にはありませんが断層に近接しています。小宅はサツマイモぐらいしか取れない台地の旧畑地に立っていますから液状化の心配はありませんが、立川断層地震が起きれば震度5強は覚悟しなければなりません。せっかくの御影石のタイルが剥がれ落ちるかも知れませんね。その程度の被害想定では甘いといわれそうですが...。<br /><br />　今朝の地震は立川断層が活動し始める予兆か、そう考えると震源は「埼玉県南部」のどの地点か、詳細が知りたくなりました。パソコンで検索しましたら、震源地は「北緯35度9分、東経139度5分」となっていました。所沢市は北緯35度4分、東経138度3分」ですから微妙にずれています。<br /><br />　では震源地はどこなのか、北緯35度9分、東経139度5分を手掛かりに地図で確認すると、県庁所在地さいたま市の北に位置する埼玉県春日部市あたりです。そこが正確な震源地ということでした。震源地が「埼玉県南部」でも千葉県に近い春日部市（春日部は埼玉県東部と表示される場合もあります）あたりであれば、素人判断ですが、立川断層との関連より東日本大地震の余震域で発生した3月15日の千葉県東方沖地震とのつながりが深いように思えます。<br /><br /><br /><b>気候温暖、温泉つきの「終の棲家」探し<br />だが日本列島どこに移住しても地震が襲う</b><br /><br />　正確な震源地を知り、春日部にお住まいの人には申し訳ありませんが、小生、ほっとしました、しかしよく考えると日本列島どこに住もうと地震から免れることはできません。<br /><br />　地震学者の受け売りですが、日本列島の東方では太平洋プレートが北米プレートに潜り込み、西方ではユーラシアプレートにフィリッピン海プレートが潜り込んでいます。その境界域ではプレート間で溜まったひずみを解消する地震が多発することになりますから、日本列島の東方、西方いずれに住んでも地震は避けられません。<br /><br />　小生、「終の棲家（すみか）」を求めるような年齢に差し掛かっています。小生にとっての理想の「終の棲家」は、気ぜわしくなく気候温暖、温泉があって海釣りができ、近くに空港があって医療施設も充実しているような土地です。この条件を満たす土地で思い浮かぶのは、小生が育った大分県の別府温泉です。<br /><br />　しかし別府は、近くは四国の佐田岬半島から別府湾、阿蘇、八代へ至る日本最大の断層帯の中央構造線の上にあります。だから温泉がこんこんと湧いているのですが、1596年にはこの断層帯上でマグニチュード7.0以上と推定される慶長伊予地震、慶長豊後地震が連続して発生しています。小生理想の「終の棲家」の別府も地震とは無縁ではありません。それどころか、慶長豊後地震から416年経過しており断層帯がいつ動いても不思議ではないのです。<br /><br />　ということで小生の別府を念頭に置いた「終の棲家」探しは頓挫しました。日本列島どこへ移住しても地震の恐れがあるのなら、狭いながらも植木いじりや家庭菜園の楽しめる40年も住み慣れた所沢を「終の棲家」、つまり人生を終える場所にするほかないと考えているところです。<br /><br />　もし温泉つき、海釣りつきで暮らしたいのなら期間限定、2ヶ月ぐらいのロングステイ、ニュージーランドあたりで住むのはいかがでしょうというのが、所沢育ちの家内の提案でした。この家内の提案にもはっと目が覚まされました。 ]]></description>
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            <pubDate>Fri, 16 Mar 2012 11:33:39 +0900</pubDate>
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        <item>
            <title>「絆」など嘘っぱち？立ち往生する「瓦礫の広域処理」</title>
            <description><![CDATA[（2012年3月9日筆）<br /><br />　東日本大震災から1年がたちました。テレビも新聞も連日、震災を振り返る特番を続けています。それらを見るにつけ、この大震災が地震と津波、そして原発事故という人類がかつて経験したことのない巨大な複合災害であったことを思い知らされます。ここからの復旧・復興は容易ではないとも思いました。<br /><br />　しかし、この巨大な複合災害に直面した直後の日本人は素晴らしかったと思います。国民は史上最大の義援金を被災地に送りました。数多くのボランティアが被災地に入り被災者サポートに尽くしました。自衛隊員も消防署員も自らの危険を顧みず献身的に働きました。被災地外の自治体職員は今でも被災地自治体の業務を支えています。日本中を駆けめぐった「絆（きずな）」という言葉が日本人にみごとにフィットした時期でした。<br /><br /><br /><b>「絆」などどこ吹く風、「利己」に絡めとられた<br />数百人の政治家とほんの少数の日本国民たち</b><br /><br />　「絆」とは「利他（利を他にも及ぼす）」の行為を伴う人々の心の有り様を言うと理解しています。世界の人々はそんな優しい心の有り様を見せてくれた多くの日本人に対して称賛を惜しみませんでした。しかし、震災後1年経過して、そんな優しい心の有様とは無縁の、「利己（利はおのれにのみ属する）」に絡めとられ引くことのない日本国民がほんの少数ですが存在することを思い知らされました。非常に残念です。<br /><br />　「利己」に絡めとられ引くことがなかった国民の最たるものは、この国の数百人の国会議員です。この数百人の議員たちには、国民にとって有益かどうかという「利他」の判断より、自らの選挙に有利か、不利か、という「利己」の判断しかないようです。<br /><br />　谷垣自民党は不人気な内閣のもとで解散すれば選挙に勝てるという「利己」の判断から、今年も予算執行に不可欠な赤字国債発行法案（特例公債法案）を人質に解散を迫る構えです。与党民主党の小沢・鳩山グループは、いま解散すると家の子郎党が議席を失うといって身内の内閣を攻め立て国民のための法案の成立を妨げてきました。<br /><br />　公明党などの少数政党も議員定数の削減が自らの議員数減少に直結するのではないか、そればかりを恐れ政権に楯突いているように思えます。政治の執行を担う官僚たちも国民の批判に耳を貸さず、行政改革に抵抗し続けています。もううんざり、ですね。<br /><br /><b><br />「大文字」焼きで拒絶された陸前高田の護摩木<br />これに通底する震災瓦礫の「広域処理」反対運動</b><br /><br />　こんな政治家にならって「絆」などどこ吹く風、「利己」に走って恥じない国民が出てきました。その代表が「放射能拡散が怖い」といって被災地に積み上がった震災瓦礫の処理受入れを声高に拒んでいる一部の地域住民です。<br /><br />　その前兆は、震災後半年経った頃、昨年8月に起きた京都の「５山の送り火」のひとつ「大文字」の護摩木問題でした。津波に襲われ倒れた陸前高田の松原の松の木を護摩木にして「大文字」焼きで供養するという美談が、一転して「放射能拡散」を恐れる一部の京都市民の強硬な反対で潰れてしまった事件です。護摩木には拡散を心配するような放射能汚染はなかったにもかかわらず、京都の一部市民は反対し続けたのです。<br /><br />　この事件を聞いて、小生、厭な予感がしたのですが、予感は的中しました。陸前高田の護摩木搬入を拒んだ京都市民に触発され、放射能拡散を過度に恐れる国民が連鎖的に生まれたのです。その究極の形が、震災瓦礫の広域処理を拒む一部の地域住民の反対運動でした。<br /><br />　東北を襲った大津波は、岩手県で県内の年間処理量の11年分、宮城県で19年分もの膨大な震災瓦礫をもたらしました。この両県合わせて約2000万トンのがれきのうち約20％に当たる395万トンを他府県で処理して欲しいというのが「瓦礫の広域処理」の問題でした。<br /><br />　広域処理には次の点が考慮されていることに注意が必要です。第1に、放射能汚染の度合いが大きいと思われる福島県の瓦礫は全量県内で処理される予定で、広域処理には回りません。第2に、他府県に処理を求めている395万トンについては放射能検査を繰り返し行い、放射能が一定基準以下でなければ処理に回さないことになっています。当然のことですが「放射能の拡散」など起こりようもない仕組みになっています。<br /><br />　この仕組みに従って青森県や山形県、茨城県などの隣接県は岩手、宮城県の瓦礫の処理をすでに始めています。東京都も石原都知事が焼却炉や焼却灰の埋め立て地周辺の住民反対運動を押さえ込み、岩手県宮古市や女川町の瓦礫処理をスタートさせました。他にも秋田県、埼玉県、神奈川県、静岡県、大阪府などが震災瓦礫の広域処理を検討しています。<br /><br /><br /><b>放射能拡散の恐れがないのに瓦礫受け入れに反対<br />この利己的勢力に抗した桜井・島田市長を見習うべし</b><br /><br />　しかし神奈川県では、瓦礫処理を引き受ける予定の横須賀市、静岡県では島田市で処理地周辺の住民の反対運動が激化し、瓦礫搬入が行き詰まっています。こうした反対を恐れてか、日本の半分に当たる26道府県が瓦礫の広域処理に消極的だといいます。<br /><br />　率先して「瓦礫処理の受け入れ」を表明した静岡県島田市の桜井勝郎市長は、焼却炉と焼却灰の最終処分場がある地域の反対住民と市外からきたと思われる活動家に取り囲まれ袋叩きにあったといいます。引き受ける予定の岩手県山田町や大槌町の瓦礫の放射線量は島田市で発生したゴミの放射線量と変わりません。そう桜井市長が反対グループに説明しても「たとえ1ベクレルの放射性物質でも受け入れられない」と彼らは主張しているといいます（「週刊新潮」12年3月15日号）。<br /><br />　桜井市長は同じ「週刊新潮」誌上で「同じ日本で暮らす人たちが困っているのに手を拱いているわけにはいかない。普段"絆"などときれいごとを口にしながら、利己的に瓦礫受け入れに反対するのは"偽善"ではないでしょうか」といい、「どんな反対があっても、絶対に瓦礫は受け入れます。東北を助けるために少数意見なんて聞いていられない」と言い切っています。<br /><br />　桜井さん頑張れ、です。同じような反対を横須賀市の住民から受けている黒岩祐治神奈川県知事と横須賀市長も。少数意見に負けず、瓦礫受け入れを断行してください。横須賀選出の小泉進次郎議員も受け入れの説得に当たって欲しいものです。大阪府では松井府知事と橋下徹市長の大阪市だけが受け入れに賛成しているようですが、まだ瓦礫処理受け入れが具体化していません。橋下氏にはここでこそ石原東京都知事並みのリーダーシップを発揮すべきでしょう。<br /><br /><br /><b>理不尽で利己的な「少数意見」が跋扈<br />恐怖心をあおる一部の識者、ジャーナリズムにも責任</b><br /><br />　多数決で決めるとはいえ「少数意見も無視しない」というのが民主主義の鉄則です。しかし「少数意見」を尊重するあまり何も決められない政治に堕している最近の日本の風潮はどこか間違っている気がしてなりません。<br /><br />　一桁の支持率しかない少数政党（や党内野党）が声高に時代遅れの主張を展開しこれに多数派が惑わされ何も決まらない。少数の無年金者や保険料未納者を救済するために保険料を忘れず支払っている大多数の健全な中間層の利益が侵される。そのうえ、放射能拡散の恐れが全くないといっていいのに、瓦礫を受け入れないという極めて利己的な「少数意見」が跋扈しているのが日本の現状です。<br /><br />　瓦礫の広域処理をめぐる意思決定の迷走は、大局を観ずして瑣末に絡めとられ、そして何も決められない日本政治の縮図に思えてなりません。そして行過ぎた放射能被害想定をばら撒き、一部の国民に異常ともいえる放射能恐怖心理を植え付けた一部の識者、ジャーナリズムにも大きな責任があります。放射線医療の専門家でもない彼らこそ利己的な「少数意見」を培養した犯人ではないでしょうか。<br /> ]]></description>
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            <pubDate>Fri, 09 Mar 2012 12:42:22 +0900</pubDate>
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            <title>与野党議員は「妥協の作法」を身に付けよ</title>
            <description><![CDATA[（2012年3月2日筆）<br /><br />　与野党の議席が逆転している参議院で賛成224票、反対11票という圧倒的多数で国家公務員給与削減法案が成立しました。<br /><br />　最大野党の自民党で反対票を投じたのは京都府選出の西田昌司議員ひとりだけでした。西田議員は、答弁者に全く無礼な、ウイットもセンスもない野次を飛ばし続けているあの議員です。「良識の府」参議院の恥ともいうべき議員ですが、彼が何を考えて反対票を投じたのか小生のような凡人によく分かりません。<br /><br /><br /><b>国民待望の公務員給与削減法案が成立！<br />「衆参ねじれ」でも、やればできるではないか</b><br /><br />　それはさておき、公務員給与削減法案が圧倒的多数で採択されたことは大変結構なことです。公務員を除くすべての国民が求めていた法律をやっと仕上げることができました。「衆参ねじれ国会」でも、やればできるじゃないですか。<br /><br />　1998年の金融国会で小渕恵三内閣は、金融再生関連法案を野党の民主党案を丸飲みして成立させました。当時も与党は参議院で少数派でした。小渕内閣は未曾有の金融危機から脱するという大義のために野党案を丸呑みしたのです。当時の最大野党、民主党の菅直人代表は「野党案を飲むなら政府の責任は問わない、政局にも絡めない」と言ったといいますから、野党もまた立派だったといえます。<br /><br />　日本はいま、市場の反乱によっていつ日本国債が売り浴びられてもおかしくないというリスクを内包した、未曾有の財政危機状態にあります。野田内閣が提案している「社会保障と税の一体改革」に伴う消費増税は、財政破綻から生じる国民生活の深刻な危機を一時的にでも回避する（5％程度の引き上げでは国債残高累増は止まりませんが、5％でも時間稼ぎにはなるという意味です）ための政策です。<br /><br />　今回成立した公務員給与削減法案は、議員定数、議員歳費、政党助成金の削減と並んで、消費増税を国民に受け入れていただくための大切な前提でした。その大切な前提である公務員給与削減法案を野田佳彦内閣は野党の自公案を丸飲みして成立させました。やればできるのです。金融国会と同じ「野党案丸飲み」という与野党妥協の手法がまだ生きていたといえます。<br /><br /><br /><b>与野党妥協の最大の功労者は「橋下ブーム」<br />「決定できる民主主義」のための「妥協の作法」</b><br /><br />　この与野党妥協の最大の功労者は、橋下徹大阪市長だったかもしれません。彼が率いる「大阪維新の会」は、検討中の次期衆議院の選挙公約「維新八策」の骨子冒頭に「決定でき、責任を負う民主主義」と書いています。この「民主主義」とはたぶん「議会制民主主義」、すなわち国会とそれを構成する国会議員のことを意味しているのでしょう。現状の国会と国会議員が「決定できない、責任を負わない」ことを憂えて「決定でき、責任を負う民主主義」を提案しているに違いありません。<br /><br />　国民の多くは、何も決定できない国会と国会議員に苛立っていました。その苛立ちの裏返しとして「橋下ブーム」があったといってよいでしょう。この後、与野党が「議論の末に妥協点を探り法律を仕上げる」という妥協の作法を思い出し、議員歳費、政党助成金、議員定数の削減などの法律を次々成立させるようになれば、維新八策がいう「決定でき、責任を負う民主主義」は衆参ねじれ国会の下でも実現します。そうなれば「橋下ブーム」も効き目があったということになります。<br /><br />　少し考えて見たいのですが、民主主義が「決定できない理由」は、「維新八策」が言うように参議院の権限が強すぎて何も決定できない衆参二院制にあるのでしょうか、あるいは総理大臣を国会議員の選挙で選ぶという議院内閣制にあるのでしょうか。それとも、「妥協の作法」をいまだ身に付けることが出来ていない日本の国会議員のせいなのか、どちらなのでしょうか。<br /><br />　与野党逆転の参議院で圧倒的多数を得て公務員給与削減法案が成立したという事実を見る限り、「決定できない理由」は、「最後は国民のために妥協する」という作法を忘れてしまった与野党の国会議員にあったといえるでしょう。<br /><br />　与野党逆転の議会などオバマ政権下の米国議会を筆頭に世界中にあります。「ねじれのない議会」は一党独裁の中国人民代表大会と北朝鮮の最高人民会議ぐらいのものです。大切なのは常態化する「ねじれ議会」のもとで国会議員が国民のために法律を仕上げる「妥協の作法」を見につけることだと思います。<br /><br /><br /><b>議会制民主主義にはイライラさせられる。<br />だが、一党独裁よりはましだろう</b><br /><br />　国会論戦を聞いていて思うのですが、与野党の議論が本質を外れるのは日常茶飯事です。つまらない話を何度も繰り返して罵り合っています。そのうえ、与党に属す政治家が野党張りの反対論をぶつ始末です。党内のガス抜きに議会を使うなど時間のムダです。一方、2～3％以下の支持率しかない少数政党にも質問の機会が与えられます、彼ら極少政党の政治家でも、支持率などお構いなく言いたい放題、言えるのです。それが日本の議会の現状です。<br /><br />　日本の議会制民主主義は本当にダルイものですし、イライラするものだと思い知らされます。中国政府は、改革解放の後、経済政策の多くを日本の経済学者やエコノミストから学びました。日本の学者が教えた経済政策をタイミングよく果敢に実行しているのを見ていてうらやましく思います。教えた側の日本では、半可通の政治家が学者を馬鹿にしています。ですから議会ではまっとうな経済政策の議論もできず、根拠のある政策など何も決められない状態です。小生などいつも、いっそ日本も一党独裁になったらという衝動に駆られます。<br /><br />　しかし、日本人の誰も中国のような一党独裁を望んでいません。日本の選挙民は、時にイライラすることはあっても、反対意見にも少数意見にも機会を与えて議会では議論を尽くして欲しいと思っているはずです。しかし、選挙民は、議会が決定するまでに時間がかかり過ぎる、決定ができず先送りされるという事態に対して明らかにうんざりしています。<br /><br /><br /><b>総理は「小鳩亀」を切り、最低保障年金案を捨て<br />自公両党と「妥協」して消費増税案を成立させよ</b><br /><br />　選挙民は、議論を尽くした後は党利党略を捨てて与野党妥協し、法案をさっさと決め、その法案を成立させて欲しいと思っているのです。<br /><br />　まして深刻なイデオロギー対立が消え、政策をめぐって与野党間であまり大きな差がなくなった今日、与野党が妥協できる法案はいくらでもあると国民は思っています。その典型が、「社会保障と税の一体改革」に基づく「消費増税案」ではないでしょうか。<br /><br />　野田総理は「51対49の党内世論でも頑張る」と2月29日の党首討論で言い切りました。49は消費増税に反対の小沢・鳩山グループを指すと思いますが、「小鳩切り」をしても消費増税を実現するという決意を明らかにしました。<br /><br />　小生、市場に日本財政への信認を与え財政破綻を回避するために「小鳩切り」及び国民新党の「亀切り」は止むを得ないと思っています。野田総理がその覚悟を決め自公両党と組んで消費増税賛成の多数派を築くことに大賛成です。<br /><br />　野田総理が自公両党と「妥協」することは獅子身中の虫である「小鳩亀」と妥協するよりずっと容易です。自民党を捨て菅内閣に飛び込んで「社会保障と税の一体改革」素案を作成した与謝野馨前経済財政担当相は、消費増税の議論に乗ってこない自民党、公明党に対して「一体改革案は両党の主張を十分取り込んでいる。協議をしようとしないのは許し難い」（朝日新聞3月1日朝刊）と述べています。<br /><br />　作成者の与謝野氏が「両党の主張を十分取り込んでいる」というのですから「一体改革素案」は最初から両党主張を丸呑みしていることになります。与謝野氏は1月に閣議決定された「一体改革大綱」に含まれる7万円の最低保障年金案について「巨額の財源が掛かり中間所得層の年金受け取りも減る。撤回すべきだ」とも言っています。最低保障年金案はマニフェスト原理主義者の「小鳩」にお返ししたうえで、「一体改革大綱」からこれを除外すれば自公両党との「妥協」は十分可能です。<br /><br />　今回、消費増税が潰れれば、今後10年以上、政治家は消費増税を持ち出せなくなるといいます。そんなことがあってはならないとは思います。しかしもし今後10年間、消費増税が不可能になれば、毎年40兆円以上の新規国債発行が積み上がり、国債残高は10年間で400兆円追加されます。政府の長期債務残高は1400兆円にもなります。<br /><br />　「みんなの党」は、皇居や河岸・国道、米国債、国立大学への出資金など「売れもしない国家財産」を担保に日本は借金をまだ積み上げることができると言っています。しかしさすがに、長期債務が1400兆円になったら「売れない国家財産」という虚構の担保にすがることなどできるはずがありません。<br /><br />　転ばぬ先の杖です。野田総理と自公両党は、近い将来の国家破綻を避けるために、消費増税案をめぐる名誉の「妥協」を急いでください。 ]]></description>
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            <pubDate>Fri, 02 Mar 2012 11:11:01 +0900</pubDate>
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            <title>なぜ、さいたまの家族は「餓死という自殺」を選んだのか</title>
            <description><![CDATA[（2012年2月23日筆）<br /><br />　埼玉県さいたま市北区のアパートで餓死が原因らしい3人の遺体が発見されました。一部の報道によると遺体は夫64歳、妻63歳、息子39歳の親子3名だったといいます。猫も一匹、餓死していたようです。<br /><br />　餓死した家族の年齢を耳にして、小生、かなり動揺しました。わが家族の年齢は小生が66歳、家内63歳、長男38歳、次男34歳と同じ年恰好ですから、年齢構成は餓死した家族とほぼ同じです。ともに団塊の世代と団塊ジュニアの家族だと言って良いでしょう。<br /><br />　我々は終戦後に生まれ高度成長期に育ち、第一次オイルショック前後に結婚して子供を生み育てて老後を迎えました。同じ時代の空気を吸って生きてきた同世代です。夫婦が中年に差し掛かった独身の息子を持ってしていた点も同じです。しかも同じ埼玉県の住民です。猫も飼っていました。彼らとわが家族の立場が何かの拍子で入れ替わっていたかもしれません。とてもこの餓死事件を他人事とは思えないのです。<br /><br /><br /><b>家族は生活保護を申請せず<br />「餓死という自殺」を選んだ？</b><br /><br />　家族の生活は、ご主人が体調を崩してから大きく変化したようです。収入はなく病院通いで資産も貯金も食いつぶしたと推察されます。病院通いで貯蓄を食いつぶすことなど、どの老齢者夫婦にも起こりうることです。家賃は2年前から滞納、昨夏からは電気、ガス、水道も代金未納状態に陥っていたようです。昨年12月中旬には奥さんが面識のない近所の老夫婦に借金を申し込んだといいますから生活費の手当がとうとうつかなくなっていたのでしょう。<br /><br />　死後2ヶ月といいますから、借金を申し込んだ頃から食事は摂っていなかったのではないでしょうか。発見された遺体の枕元には水の入ったペットボトルとコップが置かれ、1円玉が数枚転がるだけで冷蔵庫は空っぽでした。室内は整理され、遺体はやせ細り、3名とも布団に仰向けに寝た格好で死んでいたようです。現場の様子から家族は2ヶ月前に生きることを諦め「餓死という自殺」を選んだように小生には思えてなりません。<br /><br />　気になったのは、この家族がなぜ生活保護を申請せずに「餓死という自殺」を選んだのかという問題です。<br /><br />　下表は家族が住んでいたさいたま市の生活保護基準額です。かりに生活保護の申請が通っていればご夫婦には第1類の個人的生活費（2名で7万2200円）、第2類の所帯共通費4万8070円が給付されたうえでさらに住宅扶助6万2000円（2人所帯の場合）が出ます。合わせて18万2270円の生活保護費が給付されます（39歳の息子も生活扶助を受けることができれば4万0270円が加算され合計22万2500円が給付されることになります）。<br /><br /><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="hyo1.JPG" src="http://www.quon.asia/yomimono/business/oonishi/2012/02/24/entryimg/hyo1.JPG" class="mt-image-left" style="float: left; margin: 0 20px 20px 0;" height="67" width="450" /></span><br /><br /><br /><br /><br /><br />　それだけではありません。地方税、国民年金の保険料、国民健康保険の保険料、上下水道の基本料金、NHK放送受信料、医療費、介護費がすべて無料になるのです。余談ですが老齢基礎年金は満額の場合、一人6万4000円、夫婦2人で12万8000円です。もし老齢基礎年金と生活保護のどちらか選択せよといわれれば、給付額が多いうえ公的な費用、医療費が無料となる生活保護を受けるほうがずっと有利です。<br /><br />　報道によると家族は2度ほど生活保護を申請するチャンスがあったようです。昨年11月、料金滞納をめぐって水道局の職員が訪れた際、職員は「区の福祉課への連絡」をすすめています。同12月には借金を申し込まれた近所のご夫婦にも「民生委員への連絡」をすすめられました。そのいずれも断り、家族は生活保護を申請しませんでした。やはり家族は覚悟を決めて「餓死という自殺」を選んだとしか思えません。<br /><br /><br /><b>住民票も移さず、近所付き合いもせず<br />生活保護より「餓死」を選んだ理由は何か</b><br /><br />　なぜでしょうか。ご家族の遺書でも出てこなければ「餓死という自殺」を選んだ本当の理由は知る由もありません。したがってここからは小生の推察でしかありませんが、いくつかの理由を考えてみます。<br /><br />　ひとつは、生活保護を申請することで自分たち家族の身元が分かってしまうことを恐れたからではないでしょうか。家族の身元が分かるのは、11年前、アパートに入居する際、家族の父親が大家さんに提示したといわれる秋田県大館市の住民票の写ししかないと報道されています。その住民票が家族のものであるかどうか不明ですし、さいたま市に住民票を写した形跡もありません。<br /><br />　11年間、住民票を移さず、近所付き合いもせず、自治会にも加入していませんから、家族は何らかの事情があって自分たちの身元を隠しておきたかったのかも知れません。親類縁者に不義理をした、借金取りに追われている、犯罪に関与して追われている。そんな下世話な事情しか思いつきません。小生、そんなお粗末な理由付けしか思いつかない自分に呆れているところです。<br /><br />　もうひとつ、両親と息子3名とも布団に仰向けという同じ姿勢で餓死していたという報道が気になります。その家族の「死に様」を聞いて、家族3人は十分話し合ったうえで「覚悟の餓死」を選んだように思えてなりません。これから生活を再建するすべはあるか、年老いた父母から1人ずつ欠けていく将来に心の支えはあるのかなど、家族は静かに話し合ったのではないでしょうか。<br /><br />　生活保護を得て生き永らえるという手段についても話し合われたと思います。しかし生活保護を申請すれば他人から過去から現在まであることないこと問い質されます。とくに健康で働く能力があると思われる39歳の長男の扶養義務が問われるに違いありません。生活保護という他人様の施しを受けるために、家族のプライバシーを差し出す恥辱を味わうことには耐えられない。<br /><br />　的外れな推測に過ぎないと思いますが、家族の話し合いは、そんな恥辱を味わってまで生き永らえるぐらいなら餓死して果ててみせようという結論に至ったのでしょうか。生活するすべも生きる目的もすべて失った家族にとって「餓死という自殺」という手段こそ、最後に残された強烈な自己表現だったのではないか、小生、と考えるのです。<br /><br /><br /><b>被保護所帯の86.5％が高齢者、母子家庭、傷病・障害者。<br />生活保護者の自殺率は一般の2倍</b><br /><br />　なお餓死した家族は申請しませんでしたが、生活保護を受けても生き永らえることができるとは限らないようです。以下に「生活保護所帯」の実態を付記しておきます。<br /><br />　2009年度の厚労省の調査では生活保護を受けている被保護所帯の44.3％が高齢者所帯、7.8％が母子所帯、34.3％が傷病・障害者所帯です。高齢者、母子、傷病・障害者という働けない所帯が86.5％を占めています。<br /><br />　2012年度の生活保護費予算は3兆4000億円達していますが、この予算の半分は高齢者所帯を中心とする医療費に費やされています。<br /><br />　もうひとつ、生活保護受給者の自殺率は被保護者10万人に対して55.7人です（2010年）。全国の自殺率が人口10万人に対して24.9人ですから生活保護者の自殺率は全国の自殺率の2倍になります。<br /><br />　自殺者が属していた被保護所帯は傷病者所帯が38.7％、障害者所帯が21.4％、そして高齢者所帯の20.1％となっています。<br /><br />　生活保護を受けたとしても「死は身近かにある」ことをこれらのデータは示しています。すでに前期高齢者である小生、健康に気をつけ医者に掛からず、医療費を掛けず、「ぴんぴん　コロリ」とこの世からおさらばできることが最大の国家への貢献だと心得て精進します。 <div><br /></div>]]></description>
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            <pubDate>Fri, 24 Feb 2012 09:15:28 +0900</pubDate>
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        <item>
            <title>知って大変、いずれ資産も丸見えの「マイナンバー法案」</title>
            <description><![CDATA[（2012年2月17日筆）<br /><br />　2月14日、野田政権は「マイナンバー制度」を導入するための「個人識別番号法案」を閣議決定しました。国民の8割以上は「マイナンバー制度」が何かよく分からない、中身は知らないという世論調査もありました。<br /><br />　知らなくて幸せですね。昭和生まれの小生など、「個人識別番号」と聞いて、今から30年前、1980年から85年に掛けて勃発した「グリーンカード騒動」をすぐ思い出してしまいます。この騒動を知れば、「マイナンバー制度」が大変な制度であることが分かります。知って大変です。<br /><br /><br /><b>田中派と郵政族が潰したグリーンカード法案<br />背後には「所得の捕捉」を嫌がる納税忌避者</b><br /><br />　グリーンカードとは国民すべてに番号を付した「少額貯蓄等利用者カード」のことです。当時、「マル優」と称される300万円以下の非課税貯蓄制度があり、この制度を悪用して利子・配当課税を逃れるための「仮名口座」が横行しました。この課税逃れを防ぐため、当時の大蔵省、国税庁は「少額貯蓄等利用者カード（グリーンカード）」制度の導入をもくろんだのです。<br /><br />　グリーンカード制度を盛り込んだ「所得税法改正案」は1980年3月にいったん成立しました。しかし法が施行される段になって制度の怖さを知り実施反対論が噴出、1985年には議員立法では廃案になってしまいました。<br /><br />　この制度は、発行されたグリーンカードのもとに金融機関に分散している預貯金口座のすべてを名寄せすることを義務づけ、口座の本人確認を徹底させようとするものでした。名寄せ、本人確認ができれば、本人名義でない「仮名口座」は宙に浮き、預貯金を引き出すことはできません。これを避けるため「仮名口座」から預貯金を「本人名義口座」へ移し変えれば、利子・配当所得が容易に捕捉され「マル優」を悪用した課税逃れができなくなります。<br /><br />　こうした事態を恐れ制度発足の前から「仮名口座」などに預けられた課税逃れの預貯金（脱税預金）が金融機関から無記名の債券や金に大量に流出しました。さらに「このままだと国内預金が海外に流出し日本経済が大混乱する」という反対論も飛び出し大騒ぎになったのです。反対論者が言う「海外流出する国内預金」は課税逃れの脱税預金です。脱税預金を守るために反対運動が起こり、その結果、いったん成立した法律が廃案になったというのですから今考えると極めて不公正な騒動だったといえます。<br /><br />　反対運動の中核は自民党の田中（角栄）派と郵便局を支持基盤とする郵政族議員でした。当時の郵便貯金は課税逃れの貯金で膨れ上がっていたようです。グリーンカードの導入で郵便貯金が大量に流出することを恐れ反対運動に走ったのではないでしょうか。預貯金の流出への恐怖は他の民間金融機関も同じで金融業界も反対に回りました。<br /><br />　しかし、預貯金が名寄されその総額が明らかになるとその預貯金をもたらした「所得の源泉」を税務署から追及される恐れがあります。その恐れが騒動の本質だったのではないでしょうか。<br /><br />　当時、「クロヨン」とか「トーゴサン」とか言われた「所得捕捉率」の議論が盛んに行われていました。「クロヨン」は、所得税が源泉徴収される給与所得の所得補足率が9割に達するのに対し、自己申告で課税される営業所得の捕捉率は6割、同じく自己申告の農業所得の捕捉率は4割にとどまるという見方です。捕捉率が低いほど所得税負担は軽くなりますから、所得が丸裸になるサラリーマンなどの給与所得者の税負担は重くなり、売上を隠し経費を水増しできる自己申告の中小企業主や農業者の税負担はずいぶん軽くなります。<br /><br />　「クロヨン」は1981年に石弘光（当時、一橋大教授）氏らの実証研究でその存在が明らかになりました。低い所得捕捉率のもとで郵貯などに溜め込まれた中小企業主や農業者の預貯金がグリーンカードで正確に把握されるのですから、彼らが政治家を巻き込んで反対運動に走っても不思議ではありません。<br /><br /><br /><b>「給付つき税額控除」に必要なマイナンバー制<br />いずれ「所得の捕捉」から「資産の補足」へ進化</b><br /><br />　そこで今回の「マイナンバー制度」です。これは、すべての国民と法人にマイナンバー（社会保障と税の共通番号）を付与し、納税記録や社会保険料の納付、給付情報を一元的に管理するという制度です。「社会保障と税の一体改革」素案の工程表には2012年に法案提出、14年にマイナンバー（番号）交付、15年1月から「番号」の利用開始と書かれ、その通り政府は動いています。<br /><br />　この制度の狙いは、個人（自営業者、農業者を含む）の所得や納税額を正確に捕捉し、その情報に基づいて社会保険料や税の公正な徴収を行う一方、生活保護給付などきめ細かな社会保障給付を行うことにあります。<br /><br />　その際、とくに「正確な所得の捕捉」が重要になります。「一体改革」素案では、低所得者の負担が重くなるという消費増税の逆進性を補うために、一定所得以下の所帯に税を還付したり現金を給付したりする「給付付き税額控除」制度を2015年度から導入しようとしています。制度の対象となる「一定所得以下の低所得者」を特定するには、マイナンバーで所得を名寄せし正確に所得総額を捕捉する必要があるからです。<br /><br />　マイナンバー制度による名寄せは、当面は「所得の捕捉」にとどまるでしょうが、税負担や社会保障給付の公平性をさらに高めるには「資産の捕捉」が必要になるでしょう。一例を挙げれば、「給付付き税額控除」では「所得はないが預貯金、不動産など資産はたくさんある」という大資産家にも現金給付が行われるからです。こうした不公正も「資産の捕捉」によって是正されます。<br /><br />　生活保護費の給付では申請者に対して、預貯金、不動産など「資産の捕捉」が徹底して行われています。預貯金を取り崩したり不動産を売却したりすれば生活できる人に生活保護費を給付するのは不公正だからです。マイナンバー制度がさらに進化し、「資産の捕捉」が容易になれば生活保護給付に掛かる費用も節約できることにもなります。<br /><br />　さらに「資産の捕捉」によって税務署が預貯金や不動産取得の所得源を追及することができれば、自己申告でわかりにくい自営業者や農業者などに対する徴税効果が高まるかもしれません。もうお分かりでしょうが、「マイナンバー制度」が「資産の捕捉」まで踏み込めば、30年前に大騒ぎした「グリーンカード導入」と変わらなくなります。それを知ったら、また反対論が沸騰しかねませんね。<br /><br /><br /><b>歳入庁創設で12兆円の保険料収入が増加？<br />マイナンバー制は「公平、公正」のためのインフラ</b><br /><br />　ひとつ「一体改革」素案には、税を徴収する国税庁と年金保険料を徴収する日本年金機構（旧社会保険庁）を統合した「歳入庁」の創設による税と社会保険料を徴収する体制の構築作業に入ると明記されています。これには、税と社会保障の共通番号である「マイナンバー制」が大いに役立つに違いありません。<br /><br />　「みんなの党」の浅尾慶一郎衆議院議員は「文芸春秋」（12年3月号）で「歳入庁を作れば、国税庁が持つ法人データが活用でき保険料の取りっぱぐれがなくなる」と書いています。すべての法人は従業員など保険加入者に代わって年金保険料を納める義務があるのですが、日本年金機構が保険料徴収のために把握している法人数は国税庁が把握している法人数より極めて少なく保険料を納めていない法人が多数になります。浅尾議員によると、国税庁の法人データに基づき納めていない法人から徴収すれば、年間12兆円（消費税5％分）も保険料収入が増えるというのです。「マイナンバー制」を使えば年金保険料を納めていない法人も個人も特定できますから、これを保険料徴収に活用することになります。<br /><br />　小生は「マイナンバー制」は税や保険料の徴収を公平で公正に行う、あるいは年金、医療、介護、失業保険、生活保護費、「給付つき税額控除」の給付を公平で公正に行うためのインフラとして重要だと考えています。「税と社会保障の一体改革」と切り離してでも法案を成立させたほうが良いと思います。<br /><br />　小生は、「マイナンバー制」の怖さを改めて知って、社会保障にただ乗りしている「低所得の資産家」、「脱税」「節税」に余念がない「隠れ高所得者」などが同類の政治家たちを使って導入反対運動に走ることを懸念しています。「グリーンカード騒動」の二の舞を避けるためにも「マイナンバー制」の内容をしっか把握しておくことが大切だと思います。 ]]></description>
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            <pubDate>Fri, 17 Feb 2012 11:16:52 +0900</pubDate>
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        <item>
            <title>円安をもたらす？　経常収支の「赤字転落」予想</title>
            <description><![CDATA[（2012年2月10日筆）<br /><br />　2011年の貿易収支が48年ぶりに赤字に転落しました。この報道に接して米国の経済学者キンドルバーガーの国際収支の発展段階説を思い出しました。<br />この説によれば日本経済は第4段階の「貿易収支は赤字に転落するが、過去の対外資産の蓄積が大きく所得収支が黒字であるため経常収支は黒字を維持する」という「成熟した債権国」になったことになります。<br /><br />　下表をご覧下さい。日本の貿易収支はじわじわ黒字幅を縮小、ついに昨年、赤字に転落しました。一方、海外からの配当や利子収入からなる所得収支の黒字は依然大きく貿易収支の縮小を補って経常収支は黒字を維持しています。ちなみに所得収支の黒字が貿易収支の黒字を上回ったのは2005年でした。<br /><br /><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="hyo1.JPG" src="http://www.quon.asia/yomimono/business/oonishi/2012/02/10/entryimg/hyo1.JPG" class="mt-image-none" style="" height="165" width="467" /></span><br /><br />　市場の専門家の中には経常収支が赤字に転落する日も近いとする見方もあります。クレディ・スイス証券の白川浩道氏は2014年度、JPモルガン証券の菅野雅明氏は2015年、RBS証券の西岡純子氏は2017年か18年には日本は経常赤字に転落すると予測しています。いずれも日銀に籍を置いたことがあるチーフ・エコノミストです。日銀の見方が入っているかもしれません。<br /><br /><br /><font style="font-size: 1.25em;"><b>輸出は産業空洞化で伸び悩み、<br />輸入は原燃料増などで構造的に増加</b></font><br /><br />　その第1の根拠は、今後、輸出が伸び悩む（あるいは減少する）一方、輸入の増勢が続き貿易収支の赤字がさらに拡大するという点です。<br /><br />　小生の観察では、輸出については生産の海外移転（産業空洞化）が大いに気掛かりです。日産は人気の小型車「マーチ」の生産を日本からタイへ移転しました。発表当時も驚きましたが、大洪水の発生でタイが日本の自動車や電機・精密産業の一大生産拠点になっていることを知りさらに驚かされました。<br /><br />　つい最近もトヨタが、トヨタ九州が福岡県で生産するスポーツタイプ多目的車「ハイランダー」の生産を米インディアナ州に移管すると発表、米国からロシアや豪州にも輸出することになります。すでにトヨタは「カムリ」「シエナ」などの韓国向け輸出を日本産から米国産に振り替えました。米韓FTA（自由貿易協定）や円高ウォン安に対応するためです。トヨタは「300万台の国内生産台数を石にかじりついても守り抜く」と宣言していますが、いつまでその宣言が守られるか、大きな不安を感ぜざるを得ません。<br /><br />　ちなみに、2010年の自動車産業（部品、二輪車を含む）の輸出総額は約12.6兆円、日本の輸出総額約67.3兆円の13％を占めます。11年の自動車関連輸出は9694億円減少しました。震災やタイの洪水による生産減が響きましたが、回復しても日本からの輸出が回復するとは限りません。自動車産業の輸出生産の海外移転は日本全体の輸出に大きな影響を与えます。<br /><br />　一方、輸入には今後も増加を続ける要因がたくさんあります。まず最大の輸入品目である原燃料ですが、原油価格の高止まりによる原油輸入の増加が続いています、11年の原油輸入額は値上がりで約2兆円増加しました。原子力発電の操業低下によって火力発電用の液化天然ガス（LNG）の輸入量も増加しました。LNGの輸入額は値上がりと数量増で約1.3兆円増加しました。化石燃料の輸入増加は構造的なものになりそうです。<br /><br />　円高によるライバル韓国などからの輸入増（鋼材、石油化学製品など） や日本企業の海外拠点からの逆輸入、さらにユニクロやABCマート、ニトリなど製造小売業者の開発輸入の増加が加わります。<br /><br /><br /><font style="font-size: 1.25em;"><b>低金利が常態化し対外証券投資の黒字が頭打ち、<br />所得収支の黒字は縮小も</b></font><br /><br />　第2の根拠は、所得収支の黒字が頭打ちになるという点です。上表に戻ってください。11年の所得収支の黒字14兆円のうち海外債券の利子や海外株式の配当などから得られる対外証券投資収支の黒字（表の証券投資収益）が6.9兆円です、所得収支黒字の73％を占めます。　<br /><br />　特に海外債券からの利子収入が多いのですが、米国をはじめ世界的に債券利回りが低下する低金利が常態化しており、債券利子収入は減少傾向にあります。円高の進行で手取り利子収入の目減りや保有債券の減価も生じています。<br /><br />　以上の結果、貿易収支の赤字がさらに拡大し、その赤字を所得収支の黒字では補えず経常収支も赤字に転落する。そうなると対外資産が減少し始め、日本はキンドルバーガーがいう発展段階説の最終段階である「債権取崩国」に転ずることになります。<br /><br /><br /><font style="font-size: 1.25em;"><b>日銀出身アナリストの数年後の<br />経常赤字転落の予想だけで円安に転ずる？</b></font><br /><br />　日本の経常収支が赤字に転じ「債権取崩国」になれば、市場では円が売られ円安が進行します。経常赤字転落のずっと前段階の、貿易収支が小幅だが赤字に転落したというだけで円は対ドルでも対ユーロでも下落しているように見えます。<br /><br />　米FRB（連邦準備制度理事会）は消費者物価上昇率2％というインフレ目標を設定、2014年末まで実質ゼロ金利状態を続けることを決めました。これで米国の長期金利がさらに低下し日米の金利差が縮小、対ドル75円台へ円高が進む恐れがあると叫ばれました。しかし、貿易赤字転落が発表されたあと円は78円をうかがう円安に転じています。<br /><br />　安住淳財務大臣は、昨年11月、約9兆円の為替介入を実施した為替を75年代から一時79円台まで押し戻しました。しかし、一銭の為替介入も行わず、貿易赤字に転落したという数字発表だけで78円台が展望できたのです。市場は、一時的な為替介入などより、貿易赤字への転落のほうが将来の円ドル需給に影響を与え、円レートに変更を迫る基礎的要素だと考えているのです。<br /><br />　しかも、複数の日銀出身の有力アナリストが「経常収支が数年以内に赤字に転落する」と主張しているのです。為替レートへの影響は貿易収支の赤字転落より経常収支の赤字転落のほうがはるかに大きいのです。その可能性を民間のアナリストとはいえ日銀出身者が述べることの意味は大きいでしょう。<br /><br />　市場はその見方に反応してすかさず円を売ったのではないかと思います。震災からの復興期に入るこの時期の円安は日本経済にとって恵みの雨です。日銀出身者の経常赤字転落への警告にも感謝しなければと思います。<br /><br /><br /><font style="font-size: 1.25em;"><b>対外直接投資収益を増やして<br />経常収支の黒字を維持するという方法もある</b></font><br /><br />　しかし、菅野氏らが言うように、本当に経常収支赤字に転落するとなると大変な事態が発生しかねません。経常収支の黒字、つまり海外で稼いで貯めたカネ（企業貯蓄）で銀行が日本国債を買っていたのですが、経常収支が赤字になれば日本国債の買い余力が失われるからです。さらに円安が進行していれば輸入インフレを招き入れ日本国債の価値がインフレで減価するという予測から日本国債が売られる契機になります。<br /><br />　こうした事態を避けるには、対外証券投資などよりもっと利益率の高い直接投資を強め、所得収支のうちの対外直接投資収支の黒字（上表の直接投資収益）を大きくする必要があります。2011年の直接投資収益は3.8兆円で所得収支黒字の27％を占めるに止まっています。<br /><br /><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="hyo2.JPG" src="http://www.quon.asia/yomimono/business/oonishi/2012/02/10/entryimg/hyo2.JPG" class="mt-image-none" style="" height="115" width="451" /></span><br /><br />　直接投資とは、海外での日本企業の工場建設や子会社設立による投資、あるいは海外企業のM&amp;A（買収）を指します。上表は、国際貿易投資研究所調べのデータですが、日本の対外直接投資は米英独に比べ収益率、残高でも大きく見劣りします。もっと直接投資を増やしそれで稼ぎ出した直接投資収益によって所得収支の黒字を維持する一方、その海外からの配当収入を国内での新製品・新事業の開発や生産性引き上げ、研究開発など高度化投資に回す努力を企業はすべきでしょう。]]></description>
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            <pubDate>Fri, 10 Feb 2012 12:48:28 +0900</pubDate>
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            <title>砂上の楼閣「橋下人気」にたかる可哀想なシロアリたち</title>
            <description><![CDATA[2012年2月3日筆<br /><br />　野田総理は自らを「ドジョウ」に喩えたり、橋下徹大阪市長の人気にあやかる政治家を「シロアリ」に喩えたり、政治家としての能力はさておき、その風刺センスには一級のものがあります。総理を引退後は、くだらない政治家稼業などからさっさと足を洗って政治戯評を描く漫画家にでもなればと思います。<br /><br />　そもそも橋下徹氏がシロアリに食われて困るほど立派な床柱であるのかどうか、はたしてシロアリが食いつこうとしている「橋下人気」がこれからも続くのかどうか、よく分かりません。<br /><br />　もしかすると橋下氏は地方公務員と地方議員、教育委員会を悪者に仕立て上げて悪者叩きで人気を博する手法にたけているだけの政治家かもしれないのです。確かに公務員も議員も教育委員会も、民の苦しみを知らずたいした仕事もしないのに高禄を食んでいるだけの存在かもしれません。しかし悪者を叩いて実現しようとしている橋下氏の教育改革や大阪都構想が大阪の再生にとって正しい成果を生むものなのかどうかまだ分からないのです。<br /><br /><br /><font style="font-size: 0.8em;"><b><font style="font-size: 1.25em;">「船中八策」は「地方主権」の橋下氏とは全く逆の「中央集権」を構想したものです</font><br /><br /></b></font>　まして国政という内政、外交にわたる広範で細部に及ぶ仕事に橋下氏が耐えうるかどうかも分からない。彼は国政進出に当たって坂本龍馬の「船中八策」を持ち出しマニフェスト（公約）作りをしているようです。ブレーンとされる歴史小説家・堺屋太一氏の知恵を借りたのでしょうが、国民的人気の坂本龍馬を持ち出すあたり相変わらずのポピュリズム（人気取り）政治ですね。<br /><br />　だいいち、橋下氏は龍馬の船中八策の中身を理解しているかも疑わしい。伝えられる龍馬の船中八策の考え方は、橋下氏の主張である反中央集権（地方主権）とは正反対です。江戸末期、全国276もの藩が乱立して自藩の利益擁護に汲々としていました。龍馬はそんな藩の利益に絡めとられた「地方主権」を乗り越え、外国からの脅威に対抗するために「日本」というひとつの国民国家、中央への権力集中（中央集権）を構想したのではないでしょうか。<br /><br />　船中八策は「天下の政権を朝廷に奉還せしめ」から始まり「上下議政局を設け」、「有材の公卿諸侯及び天下の人材を顧問に備へ」、「外国の交際広く公議を採り」ながら「新に無窮の大典（憲法）を撰定すべきこと」、「海軍宜しく拡張すべきこと」、「御親兵を置き、帝都を守衛背せしむべきこと」に至ります。<br /><br />　途中に「宜しく従来有名無実の官を除くべきこと」という記述があり、この点だけは官僚制度の抜本改革を訴える橋下氏の主張と合致します。が、龍馬の船中八策の他のどこにも橋下氏がいう地方主権の主張などありません。龍馬は「皇運を挽回し、国勢を拡張し、万国と並行する」ための中央集権を主張しているのです。<br /><br /><br /><b>「競争と自己責任」で鍛え直す橋下政治を知っても、なお支持を続けるのか</b><br /><br />　もうひとつ、シロアリがたかる元になっている「橋下人気」のほうですが、これも危ういものがあります。政治家の「人気」など他愛ないスキャンダルひとつで軽く吹き飛んでしまう代物です。まして橋下政治が「競争と自己責任」に基礎を置くという本質を知った時、橋下氏に投票した大阪の選挙民の間で「橋本人気」が持続するかどうか大いに疑問です。<br /><br />　誤解のないようにいっておきますが、小生は、国家にたかる官僚と国家におねだりする国民、行き過ぎた「弱者」救済と再分配バラマキ主義には反対の立場です。その意味で地域住民や官僚、教育者に「競争と自己責任」を迫る橋下氏の考え方には賛成です。<br /><br />　「競争」の結果、落ちこぼれたのか、怠惰と努力不足のせいで落ちこぼれたのか、あるいは病気や事故にあい困窮しているのか、よく分かりませんが、大阪は日本で生活保護費の受給者比率がもっとも高い都市です。その背後に税金は払うものではなくフリーライド（ただ乗り）するものだという考え方がありはしませんか。最低賃金で働くよりは働かないで生活保護を受けるほうがはるかに得だという考えがはびこっていませんか。そんな大阪を橋下氏は「競争と自己責任」で鍛え直すと言っているようにも小生には聞こえます。<br /><br />　その橋下氏の考え方が具体化された時、行政による保障や保護、手厚いサービスを当然の権利のように考えていた選挙民が橋下政治を許容することができるとは到底思えません。選挙民は自らの既得権益が侵される行政が実施されると分かった途端、橋下氏を忌避し「橋本人気」は吹っ飛ぶ恐れがあります。<br /><br /><br /><b>「みんなの党」はシロアリではない。社民党は決してシロアリにはならない</b><br /><br />　そこで「シロアリ」の話ですが、「みんなの党」は「橋下人気」にたかるシロアリではありません。規制改革による「競争と自己責任」の導入は既得権益（小生はこれを「利権民主主義」とずっと呼んできました）の打破につながるとするのが小泉政治の原点です。その真の後継者は「みんなの党」です。ですから橋下氏が同じ政治思想を持つ「みんなの党」と連携してもなんら不思議ではないからです。<br /><br />　橋下氏は、日本財政の深刻さを熟知し消費増税を忌避していない点では小泉政治や「みんなの党」より優れているといえます。小泉政権とその後3代の自民党政権、2代の民主党政権、合わせて10年間も消費税増税を忌避した結果、日本の財政は破綻の坂道を転げ落ちようとしています。消費税増税なしでは、いつ日本国債が売り浴びせられても不思議ではないことを橋下氏は良く知っているともいえます。<br /><br />　「みんなの党」は、税金と社会保険料の徴収を一本化する歳入庁を新設すれば、社会保険料未払いの法人から徴収逃れの保険料約12兆円を徴収できる、税と社会保障の共通番号制の導入で約5兆円の税収増が期待できると言っています。税や社会保険料の徴収逃れを正すことは賛成ですが、合わせて17兆円もの財源が本当に出てくるのでしょうか。しかも、これは形を変えた増税です。その点について消費増税に前向きな橋下氏と「みんなの党」の合意が成立するのでしょうか。<br /><br />　橋下氏が消費増税を忌避しない「競争と自己責任」主義者であることを本能的に知っているのが、山口二郎（北海道大学教授）、森永卓郎（獨協大学教授）、浜矩子（同志社大学教授）など旧サヨク（左翼）、社会主義色が強い評論家的学者たちです。社民党の福島瑞穂党首も、橋下氏や「みんなの党」は小泉政治の亜流だといって強く批判しています。小泉政治を徹底批判する社民党が「橋下人気」にたかるシロアリにならないのは当然ですし立派です（小泉批判と消費増税反対の主張は間違っていますが）。<br /><br /><br /><b>選挙目当てで橋下氏にたかる、年取った「シロアリたち」こそ哀れなり</b><br /><br />　しかし福島瑞穂氏の社民党と同じ理由で小泉政治を批判してきた亀井静香代表の「国民新党」が橋下氏と組むのは理が通りせん。小生には亀井氏は、自由主義とは無縁の国家的社会主義者のように思えます。それがこともあろうに国粋的な自由主義を標榜する自民党「青嵐会」の旗手だった石原慎太郎氏を担ぎ上げて橋下氏の「シロアリ」になろうというのです。石原氏も橋下氏も基本的には自由主義者です。たぶん消費増税による財政再建、規制改革やＴＰＰ（環太平洋経済連携協定）にも前向きだと推察されます。そのいずれにも反対の亀井氏が彼らと手を組めるのでしょうか。亀井氏は支離滅裂です。<br /><br />　民主党の壊し屋・小沢一郎氏も橋下氏に秋波を送っているというではありませんか。小沢氏はその著書「日本改造計画」を読めばわかりますが、彼はまぎれもない「新自由主義者」でした。細川政権では国民福祉税という名の消費増税をゴリ押ししようとしました。しかし小沢氏は、それらをすべて隠して官公労など労働組合と手を組んだ。そして選挙に勝つことだけを考えて小泉氏の「新自由主義」批判を展開してきたのです。今度も選挙に勝つことだけを考えて橋下氏の「競争と自己責任」、つまり新自由主義に眼をつぶり、橋下氏の「シロアリ」になり下がるのでしょうか。嘆かわしい。<br /><br />　民主党の仙石由人政調会長代理は、某テレビ番組で橋下氏の人気ぶりについて「ある種の英雄待望論みたいなものでこの時代を乗り越えていけるか」と問うていました。さらに「欧州危機、米国危機など一国単位で物事を考えられないときは、もう少し外交安保や社会保障政策の本筋の議論をすべきだ」とも批判しています。<br /><br />　仙石氏の言うとおり、橋下氏や「みんなの党」の「反官僚、反中央集権」だけでこの難しいグローバリズムの時代を乗り越えられないこともまた事実でしょう。もっと冷静に橋下氏の立ち位置と政策を吟味したほうが良いのではありませんか。ましてやその吟味もせず、選挙に勝つためだけに「新党」（旧党の間違いでしょう）を作り、橋下氏にたかる「シロアリ」になろうとする古い古い政治家など早々にご退陣願いたいと思います。 ]]></description>
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            <pubDate>Fri, 03 Feb 2012 10:45:24 +0900</pubDate>
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