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大西良雄ニュースの背後を読む

2018年2月13日 13:37

NY株暴落は「健全な調整」か、趨勢下落に至るのか

(2018年2月13日筆)

 世界同時の株価暴落が発生した。今回の震源地は米国だ。2月2日、NYダウは長期金利の上昇を懸念して急落した。その後、1日1000ドル以上の乱高下を繰り返し、2月5日には1175ドルもの戦後最大の下げ幅を記録した。

 ただ下落率はまだ小さい。最大の下落率を記録した2月5日でも4.6%だ。2008年のリーマンショック時は、1日で7%を上回る下落を繰り返した。その後、趨勢下落となり半年間で暴落前の高値に比べ53%もの下落率となった。

 今回の暴落前の高値比の下落率は8.5%にとどまる。現段階での下落率はリーマン暴落時に比べまだ小さいといってよい。


無視され続けたNY株への「買われ過ぎ、割高」の警告

 暴落を機に趨勢下落となるのか、買われ過ぎに対する一時的な調整下落にとどまるのか。今のところ後者の説が有力である。後講釈になるが、NY株が買われ過ぎ、割高となっていることを示す株価指標はいくつもあった。

 ひとつは世界的な投資家・ウォーレン・バフェットが考案した「バフェット指数」だ。一国の株式の時価総額は名目GDPに収斂するという経験則から割り出された指数だ。急落前、1月18日の米株のバフェット指数は均衡値の100%を大きく超え149%に達し、買われ過ぎの警告が発せられていた。

 もう一つはノーベル経済学賞受賞のロバート・シラー教授が創案した「シラーPER」だ。PER(株価収益率)は株価を一株当たり利益で割って算出されるが、シラーPERは過去10年間の一株当たり利益の平均値をインフレ率で調整した実質値で算出される。

 米国株の代表指数S&P500ベースのシラーPERは16倍台が過去平均だ。25倍以上になると株式が利益に対して買われ過ぎ、割高と判断される。暴落前の2018年1月のシラーPERは32倍に達しており、株価は明らかに割高となっていたといえよう。


インフレ懸念で長期金利が急上昇、株式の割高感が際立つ

 しかし株価はバフェット指数、シラーPERの警告を無視する形で上昇した。その背景にあったのは低インフレと大幅な金融緩和がもたらした低金利だった。それが18年1月の賃金上昇を含む「強い雇用統計」で急変する。

 「強い雇用統計」の発表は賃金上昇によるインフレ懸念を市場にもたらした。インフレ懸念の台頭で買われ過ぎていた米国債が売られ長期金利(10年もの米国債利回り)が急上昇したのだ。

 長期金利の急上昇は株式投資には逆風だ。長期金利(債券利回り)と株式益回り(1株利益÷株価、PERの逆数)あるいは株式配当利回りを比べるイールドスプレッド(利回り格差)の考え方に従えば、長期金利が上昇すれば相対的に株式の益回りや配当利回りが低下、株価の割高感(買われ過ぎ)を際立たせる。

 投資家たちはインフレ懸念の増大に伴う長期金利のさらなる上昇を懸念して、バフェット指数やシラーPERが株式の買われ過ぎに警鐘を鳴らしていることに気が付き、慌てて株式を売った。さらにコンピュータによる機械的な売りが株価暴落を加速することになった。


トランプの財政膨張路線が金利上昇圧力を強めた

 ただ、米国の長期金利は年末の2.4%倍から2.8%台へ0.4%上昇したに過ぎない。問題は今後の金利上昇テンポにあるが、それを加速する新たな要因が米国経済に加わった。トランプ政権による財政膨張がそれだ。

 一つは10年間1.5兆ドル(約165兆円)ものトランプ減税だが、この功罪については前回ブログで述べた。もう一つはインフラ投資等による歳出拡大だ。トランプ大統領は2019会計年度の予算教書で今後10年間1.5兆ドルのインフラ投資を掲げた。議会は大幅減税、歳出拡大に備え2018年度、19年度の2年間で3000億ドル(約33兆円)の歳出上限引き上げに合意した。

 トランプ政権は、大幅増益基調の企業収益、最高値連続更新の株価、2000年以来17年ぶりに低い完全失業率、貯蓄率低下による消費拡大など景気拡張が続く環境下でなお大幅減税と財政出動(歳出拡大)を上乗せするのだ。完全雇用下、景気を過熱させインフレを煽る異常な財政拡張政策というほかない。

 米国の長期金利は、インフレ懸念を強める財政膨張政策、その結果としての財政赤字拡大による国債増発(政府債務の増大)の両面から上昇圧力を受けることになる。長期金利の上昇が加速すれば株式はさらなる下落を余儀なくされる。


パウエル新議長のFRBが抱え込んだ深刻なジレンマ

 異様な財政膨張の結果、慎重に金融正常化を進めてきたFRB(連邦準備制度理事会)は深刻なジレンマを抱え込む。財政膨張によるインフレ懸念を抑制するには金利引き上げを加速する必要がある。しかし、金利引き上げを急げば今回のような株価暴落が繰り返され景気減速(雇用悪化)につながる。インフレ懸念対応と株価暴落対応のいずれを優先するのかというジレンマだ。

 今回の株価暴落に対するFRB高官の判断は、「現段階では大したことはない」(ダドリー・ニューヨーク連銀総裁)という発言に代表される。イエレン前議長を筆頭にFRBは「NY株は高過ぎる」という見方を強めており、今回の株価暴落を「健全な株価調整」(カプラン・ダラス連銀総裁)と見ているようだ。

 FRBは、NY株価は健全な調整にとどまるとして、景気過熱によるインフレ懸念対応を優先する方針を変えていないと思われる。この方針に従えばFRBは年3回の政策金利引き上げ、保有資産縮小の拡大(米国債売りの拡大)を予定通り進めることになり、長期金利は上昇を続ける。

 本当にそうなるのか、2月末に行われるパウエル新議長の議会証言が注目される。ただ、潜在成長率2%近辺と想定される米国経済が3%(現在2.8%台)を上回る長期金利に耐えうるのかどうか試される。長期金利が3%台に突入すれば、少なくとも低インフレ、低金利によって築かれたNY株の「適温相場」は崩れることになりそうだ。

2018年1月22日 12:27

トランプ大統領就任1年、大型減税スタートの功罪

(2018年1月21日筆)

 就任して1年、トランプ米大統領の支持率は38%、戦後の大統領の中で最低となった。一方、トランプ就任後1年間のNYダウ上昇率は31.9%、1981年のレーガン大統領就任以来、6代の大統領の中で最高だった。

 反知性で差別容認、史上最も不人気な大統領のもとでも株価は上がった。トランプ氏は、自らが選んだフェイクニュースの第一位に「トランプ以降、市場は決して回復しないだろう」としたノーベル経済賞受賞者クルーグマンのNYタイムズ紙の評論を取り上げた。株価上昇を最大の手柄としたいのだろう。


企業への大幅減税がトランプ就任後初の本格的な経済政策

 しかし、トランプ就任後、口先介入や規制緩和はあったが本格的な経済政策はなかった。NYダウの上昇はリーマン危機後8年以上も続いており、トランプ政権下だけの現象ではない。長期停滞論が世界的にささやかれる中、低成長・低インフレ、低金利(世界的な大幅緩和)という経済環境のもとでジリジリ株価が上がる「適温相場」がトランプ就任後も継続した結果に過ぎない。

 因果関係を問わず、権力者が株価上昇を自ら手柄とする性癖は洋の東西を問わないようだ。

 こうした中、昨年12月、選挙公約の5兆ドル減税案より縮小したが、10年間約1・5兆ドル(約165兆円)にのぼる大型減税案が成立、本年1月から実施された。トランプ就任後初の本格的な経済政策と評価されている。

 今回のトランプ大型減税で注目されるのは企業に対する大幅な減税だ。①連邦法人税率を35%から21%に引き下げる、②海外子会社からの配当所得課税を廃止する(現在は海外納税分を除き35%課税)、③海外に留保された現金等を米国へ還流させる際、現在は35%課税だが、一度に限り8%~15.5%の課税とする(レパトリ減税)、この三つが主なものだ。

 法人税率引き下げによって地方税を含む米国の法人実効税率は減税前の38.91%から27.75%に低下、OECD加盟国平均の24.18%には及ばないが、ライバルのドイツ(30.18%)、日本(29.97%)を下回った。法人実効税率の低下で米国の立地競争力は回復することになる。


レパトリ減税に抜け目なく反応したアップル、追随続出か

 海外子会社からの配当所得課税の廃止、レパトリ減税は海外から米国への資金還流を促す効果がある。米企業が海外にため込んだ留保資金は2.5兆ドル(約275兆円)にのぼるが、これが本国に還流し設備投資や研究開発、M&A(企業買収)など投資に充てられれば米国のサプライサイド(供給側)の強化、成長率の引き上げに貢献することになる。

 米最大の時価総額を誇るICT企業・アップルは、レパトリ減税に素早く反応、低税率国にため込んだ2500億ドル(約27.5兆円)のうち300億ドルを還流、米国内に投資、2万人の新たな雇用を生み出すと発表した。今後、アップルに追随する米系多国籍企業が増えるに違いない。

 今回の減税には、10年間で1.1兆ドルにのぼる個人所得減税も含まれる。だが、①所得税の最高税率の引き下げ、②遺産税(相続税)の課税最低限引き上げ、③個人事業主などの所得税率引き下げなど富裕層優遇が目立つ。法人減税や富裕層減税による株価上昇、賃上げの効果を中堅所得層・貧困層へのトリクルダウン効果(おこぼれによる所得増)を狙ったものとされる。

 それはさておき、このトランプ減税実施を受けFRB(米連邦準備制度理事会)は2018年の実質成長率予想を2.1%から2.5%へ0.4%引き上げた。IMF(国際通貨基金)も2%後半へ引き上げるという。成長率の上振れで2009年7月から始まった今回の米景気拡張が、2019年7月には過去最長の120カ月(10年間)に並ぶことはほぼ確実だという見方も多い。


歴史的な完全雇用状態での大型減税が「適温相場」を崩す?

 いいこと尽くめのようだが、大型減税をめぐって懸念がないわけではない。その第一は、失業率4.1%という歴史的な完全雇用状態での大幅減税となったことだ。これに10年間1兆ドルにものぼるトランプのインフラ投資拡大案が上乗せされれば米景気が過熱、インフレが高進しかねない。

 景気が過熱、インフレが高進すればFRBは想定以上の短期政策金利引き上げ、緩和縮小(長期金利引き上げ)を余儀なくされる。トランプ減税は一方で10年間1兆ドル以上の財政赤字拡大をもたらすと予想され、これも長期金利上昇の原因になりかねない。

 その結果、NY株は低インフレ、低金利、低成長によって築かれた「適温相場」が崩れるリスクを抱えることになる。PER(株価収益率)や時価総額から見てNY株の割高感が指摘されている現在、トランプ政権を支えた株高も共和党の上院過半数割れが予想される11月の中間選挙までには、反落に転じるとする市場関係者も少なくない。


米国への資金還流が中国や低税率国からの資金流出につながる

 もう一つは、海外からの配当所得減税、レパトリ減税などによる米国への資金還流が引き起こす事態だ。米国への資金還流はアジアでは中国、シンガポール、欧州ではオランダ、アイルランド、北欧諸国など低税率国からの資金流出を意味する。中国では国内で発生した利益を中国に投資する海外投資家に対する所得税減税を発表、米国への資金還流を阻止する動きを見せている。

 米国への資金還流は低税率国からの資金流出、ひいては投資の縮小につながる。中国を例に挙げれば、国内からの資金流出に伴う人民元安、株安が発生するリスクを再び抱え込むことになる。これに米国金利の上昇が加われば、新興国や低税率国からの資金流出がさらに加速、世界経済が不安定さを増しかねない。

 トランプ政権による完全雇用状態での税制、財政両面からの過剰な景気刺激が、金利上昇、海外景況の暗転を通じて米景気の寿命を縮める結果を導くパラドックスにも留意せねばなるまい。

2018年1月 9日 14:39

上放れた日経平均、日銀はETF買いを続けてよいのか

(2018年1月9日筆)

 日経平均は2018年の大発会が741円の大幅高、翌5日も208円上昇、2日間で949円(4.2%高)の急騰となった。約2か月間、上値の壁となっていた2万3000円を突破、高値保ち合いから上放れた。

 それだけではない。バブル時1989年12月に付けた最高値3万8915円からの下げ幅の半値戻し2万2984円を大きく上回った。兜町には「半値戻しは全値戻し」という格言がある。全値戻しには時間が掛かろうが、バブル崩壊後の戻り高値2万7146円(91年3月)への期待が強まることになった。


2018年度9%増益なら日経平均2万6448円の高値も

 今回の日経平均の急騰について「理屈なきバブル株価」と見る向きは少ない。1月5日終値2万3714円ベースでも日経平均の予想PER(株価収益率=株価が上昇すればPERは下がる、株価が下落すればPERは上がる)は15.6倍にとどまる。ここ数年、日経平均の予想PERは高値時16.0倍、安値時14.0倍のゾーンに収まっており、15.6倍は高値時のPERより低く、企業業績面からはまだ割高感はない。

 今後、株式市場は来期2018年度の企業業績を織り込みに行くことになる。下表上段に見るように、証券会社などの2018年度純利益予想では、世界的な好景気持続を背景に最低でも9%増益が見込まれている。

 5日現在、日経平均の一株当たり利益は1517円だが、9%増益となれば一株益は1653円に上昇する。1653円を前提にすればPER16.0倍まで買われれば日経平均株価は2万6448円の高値が想定される。PERが14.0倍まで下がっても2万3142円が安値限界ということになる(下表下段)。

大手企業(金融除く)の2018年度純利益予想=9%増益
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日経平均株価の高値安値ゾーン=9%増益・一株益1653円の場合
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 経営者による2018年度の株価見通しでは、主要企業の経営者20名のうち17名が2万5000円以上の高値を予想している。その高値予想の平均は2万5440円だった(日経新聞1月1日付)というが、こうした高値予想は経営者の企業業績への自信の表れといってよい。


NYダウは景気拡大とトランプ減税の後押しで上昇を持続か

 日本の株式市場をリードする米国株の見通しも良好だ。NYダウは1月8日終値で2万5283ドルだが2018年末にかけ2万8000ドルに達するという予想もある。その背景には景気拡大の持続とトランプ減税の効果がある。

 トムソン・ロイター集計(昨年11月末)によるとS&P500採用の米主要500社の2018年通年の利益伸び率予想は景気拡大の継続を織り込み+11.2%(17年+11.8%)と高水準を維持している。これに1月から法人税減税、所得減税を軸とする大規模なトランプ減税(10年間1.5兆ドル)が加わり、利益伸び率は8%以上上乗せされるというシナリオがウォール街では囁かれている。

 現在、S&P500の予想PERは20倍台を超え株価の割高感が顕在化しているが、トランプ減税実現に伴う8%以上の利益伸び率の上乗せを考慮すれば割高感は解消、NY株の先高は揺るがないとする見方が支配的だ。米国の景気拡張は2009年7月から始まり2017年12月で102カ月を数え戦後第2の拡張期間(戦後最長は120カ月)となっているが、米景気は2018年中も拡張を続けるという見方も強い。日本の株価はこれに連動する。


米欧の金融政策変更の累積効果をどう読むか

 こうした楽観論に対し、北朝鮮の核ミサイルをめぐる米朝緊張、エルサレム首都化をめぐる中東情勢など地政学リスクも懸念される。だが最も影響が懸念されるのは日米欧の金融政策の変更だ。

 FRB(米連邦準備理事会)は2018年も3回程度の政策金利の引き上げを継続、1月から保有資産の圧縮を本格化させ長期金利の上昇を促すことになる。今のところ金融危機引き締めのテンポが緩やかであるため、金利上昇が株価上昇の妨げになっていない。だが、どの段階で金利引き上げの累積(積み上げ)が米国や新興国の株価と景気に影響を与えるか、注意する必要があろう。

 FRBに続きECB(欧州中央銀行)も1月から資産購入額を半減、9月末までに資産購入を終了する計画だ。その後、2019年には政策金利の引き上げに踏み切ると予想される。米欧は金融引き締めへ足並みが揃ってきた。

 わが日本銀行もFRB、ECBの政策変更とは無縁であるまい。日銀が金利を低位に固定したままFRB、ECBが利上げに動けば日本と米欧の金利差が拡大、円の独歩安(日本輸出の一人勝ち)という事態を招きかねない。

 為替面から金利引き上げ圧力がかかり日銀は金融政策の変更を余儀なくされる可能性がある。日銀は「長短金利操作付き量的・質的金融緩和(イールドカーブ・コントロール)」に転じて以来、すでにステルス・テーパリング(密かな資産購入縮小)を開始、年間80兆円の国債購入額をおよそ半減させている。

 日米欧が揃って金融正常化の方向に舵を切れば、株価にどのような影響が生じるか、金融当局の検証が求められる段階を迎えることになる。


日銀のETF買いがなければ株価を維持できないのか

 日銀には年間6兆円の巨額に上るETF(上場株式投資信託)の購入削減が課題になる。ETF買いの狙いは「株式のリスクプレミアムを引き下げるため」と日銀は説明してきた。一般人にはわかりにくい説明だが、簡単に言えば「投資家の不安(リスクプレミアム)を緩和する」、つまり「下値を買い支え投資家の買い不安を解消する」ということだ。

 そもそも株式投資は投資家同士の相場や銘柄に対するリスク観測を売り買いするものだ。株価の暴落時を除き、リスクを軽減する目的の日銀によるETF買いは株式投資に原則に反する。しかも利益の拡大をバックに株価が上昇トレンドを続けているにもかかわらず、株価が下落する不安が遠のいているにもかかわらず、漫然とETF買いをつづける理由が見当たらない。上昇トレンドのわずかな下げ局面で株価を買い支える理由が小生には見当たらない。

 日銀はETF買いを縮小する、あるいは買いを止めるといった途端、支えを失って株価が急落するという不安を持っているのだろうか。それほど日本経済の底は浅く、株価が脆弱だと日銀が見ているとすれば、アベノミクスの成果が乏しいといっているに等しい。4月の日銀総裁人事が注目される。

2017年12月18日 09:43

「免疫力を高める散歩」考

(2017年12月17日筆)

 暮れも押し詰まり、また一年が過ぎ去ろうとしています。エルサレムをイスラエルの首都と宣言し世界から非難を浴びたトランプ米大統領、そのトランプと「100%ともにある」とのたまうシンゾーのことなど書こうと考えてはみましたが、あほらしくて年内最後の執筆テーマとして取り上げる気になれません。こんな時は閑話休題、久しぶりですが身辺雑記を書きます。


免疫力を高める納豆、メザシ、落花生、ヨーグルトを食しています

 昨年11月、膀胱がん再手術のあと、感染症にかかり3度の入退院を余儀なくされました。なぜ感染症にかかったのか、病院の説明では免疫力が落ちているからではないかということでした。ネットで検索すると免疫力とは「疫」(病原体)から「免れる力」(自己防衛能力)のことだそうです。

 歳をとって免疫力が落ち自己防衛能力が低下、細菌の臓器への侵入を防ぎきれず感染症を引き起こしたというわけです。ですが、抗生物質が効かず38度を超す熱が都合1か月近く続くような入院生活はもう二度と御免です。

 では感染症を起こさぬように免疫力を高めるにはどういう方法があるのか。ネットで調べると、免疫力を高める食事と生活態度についての記述がたくさんありました。どこまで効果があるのか確かめようがないのですが、食事については納豆にトマト、ニンジン、バナナにミカン、落花生、それにメザシにヨーグルトなどを食しなさいとありました。「信じる者は救われる」でしょうから、これらの食材は以前に増して食しております。

 生活態度については、十分な睡眠をとれ、ストレスをためるな、入浴を怠るな、深呼吸せよ、適度な運動をせよとあります。膀胱がん手術のせいか夜間頻尿状態で熟睡できているか不安ですが、睡眠時間は十分です。原稿書きや講義資料作りはストレスになりますが、作り終えれば気分爽快です。烏(からす)の行水ではありますが入浴は毎日欠かさずしています。

 深呼吸は盲点でしたが、いつでもできます。最後に残るのは「適度の運動」です。思い返してみれば高校卒業以来スポーツとは縁が切れています。社会人になってたまに接待ゴルフをやる程度でした。これは「適度の運動」とは言えません。


「毎日20分の速足散歩」か「毎日40分のだらだら散歩」か

 「適度な運動」とは、高齢者にとって散歩のことのようです。小生、60歳代半ばから血圧が上昇、これを抑える血圧降下剤を処方され毎日飲むようになったのですが、それを処方した医師からは「毎日20分の速足(はやあし)散歩」をすすめられていました。

 ですが身体が重く腹が出て足も短いせいか、いくら速く歩いても「速足」になりません。雨の日、風の日、時として曇りの日は散歩がおっくうになります。ということで、たまに20~30分の「だらだら散歩」は実践できましたが、「毎日20分の速足散歩」などとうてい無理な相談でした。

 しかし感染症での入退院を経験してから小生は改心しました。大雨の日、雪の日は敬遠しますが、小雨の日、風の日、曇りの日は散歩しています。「速足」を心掛けていますが「速足」にはなっていないと思います(速足で歩いているつもりですが若い女性や小学生にいつも追い抜かれていますから)。「速足」でないぶん、散歩時間を20分の倍の40分以上にしています。

 自宅を出て、公園や緑地、庭木の多い住宅地など樹木が重なる道をたどって小一時間の散歩になります。似たような年恰好の高齢者夫婦がつがいで散歩しています。定年退職したばかりと思える男性が速足散歩で通り過ぎます。みんな小生と同じ免疫力をぐんと高めるために散歩しているとおもうと、仲間ができたようでうれしくなります。皆さん、くれぐれも感染症にお気を付けください。

 それはさておき、からりと晴れた日の散歩は爽快ですね。深呼吸しながら散歩すればストレスの発散にもなります。これで免疫力がさらに高まること請け合いです。ネットの情報を信じれば、の話ですが...。

2017年12月 4日 13:54

中国はAIなど先端技術産業で日本をすでに凌駕

(2017年12月4日筆)

 英FT紙は「AI 中国の決断と米国の油断」(邦訳)と題する記事の中で、「60年前、ソ連が世界初の人口衛星「スプートニク」を打ち上げて世界を驚かした。(中略)中国が7月、2030年までに世界の人工知能(AI)産業でトップに立つという計画を明らかにしたことは、今日のいわば『スプ―トニック・ショック』といえる」(日経新聞11月30日朝刊)と書いた。

 中国国務院は2017年7月、「次世代AI発展計画」を発表、計画ではAIソフト、機器、知能ロボット、自動運転車、仮想現実(VR)などを重点産業とする一方、政府は脳科学や量子コンピュータ、ロボット工学、ビッグデータ研究などの支援に取り組むという。そして、「2030年までにAIの理論、技術、応用で世界的なリーダーになりAI技術革新の中心地になる」とした。


革新的テクノロジーに優れる「スマート・カンパニー」に続々ランクイン

 現在のAIの理論、技術、応用の圧倒的リーダーはもちろんアメリカだが、中国は2030年まで今後13年間でアメリカに追い付き、追い抜くというのだ。模倣は得意だが独自の技術開発力は劣ると中国に先入観を持つ人は、最先端のAI分野でアメリカを凌駕するなど、そんなことが可能かと疑うに違いない。

 だが中国では先端企業が続々誕生、米マサチューセッツ工科大学(MIT)が発行する「MITテクノロジーレビュー」誌が発表した2017年版「スマート・カンパニー・世界トップ50」に次々にランクインしている(下表)。

「スマート・カンパニー・世界トップ50」に選ばれた中国の先端企業

6位・アイフライテック(人工知能・音声認識)、8位・テンセント(AI研究、ゲームAI等)、11位・メグビー(顔認証決済)、25位・DIJ(民生用ドローン)、41位・アリババ(クラウドコンピューティング、ビッグデータ等)、49位・アント・フィナンシャル(スマホ決済サービス)、50位・バイドゥ(国立AI研究所の運営、自動運転等)
 スマート・カンパニーとは革新的なテクノロジーと効果的なビジネスモデルを持つ先端企業のことで、50位のうち6割が米国企業だが中国企業は7社入った(2016年は携帯のファーウエイ(華為)、配車アプリの滴滴出行など4社だった)。日本企業は16年にはトヨタ、ファナック、LINEの3社がラインインしていたが、17年は残念ながらゼロになった。


ネット通販はアメリカの2倍、モバイル決済登録は延べ12億人

 中国には企業がAI分野で強くなれる土壌がある。ひとつは14億人の巨大消費市場でのインターネット取引の盛り上がりだ。世界の電子商取引の40%以上が中国国内で行われ、中国のネット通販の規模はアメリカの2倍近い。

 さらに日銀調べによると、アリババ系「アリペイ」、テンセント系「ウィーチャットペイ」の2社のモバイル決済登録者は延べ12億人に達し、中国では都市部消費者の98%が店頭でのモバイル決済を利用している(日米独のモバイル決済利用率は2~6%に過ぎない)という。

 中国の膨大なネット取引は人工知能が解析、制御指令を発するのに不可欠なビッグデータの宝庫になる。中国が半導体やスマホなど高機能携帯端末などAIに関連するほとんどの電子機器の生産基地になっていることも有利になる。

 AIをリードする中国のインターネット大手、アリババ、テンセントは世界の時価総額ランキングでトップテンに入り、上位を占める米国のアップル、アルファベット(グーグル)、アマゾン、フェイスブックを猛追している。携帯通信のチャイナモバイル(本社香港)も上位にランクされている。


科学技術論文の生産でも急成長、10年後ノーベル賞受賞輩出か

 習近平総書記は10月に開催された第16回中国共産党大会で中期的な経済政策である「現代化経済体系の構築」を示したが、その2番目に革新型国家(イノベーション強国)の建設加速を挙げた。さらに2020年~35年の間に科学技術力を大幅に向上させ「革新型国家の上位」に上り詰めるとした。

 中国では国家を挙げたイノベーション(技術革新)に本腰が入ることになるが、2015年策定の「メイド・イン・チャイナ2025」ではイノベーションの重点産業に人工知能、集積回路、量子コンピュータ、第5世代モバイル通信、電気自動車などを指定している。AI産業の育成、国家資金の投入は着々と進められてきたといえよう。

 中国はイノベーションの源泉となる科学技術論文の生産でも目覚ましい躍進を遂げている。10年後、アジアでは日本に代わって中国が科学技術研究でノーベル賞受賞者を輩出する国になるに違いない。

 文部科学省傘下の科学技術・学術政策研究所による「世界の注目度の高い論文(引用回数上位10%の論文)の生産」についての調査によると、中国の総合順位は1991年-93年の18位から2011年-13年調査では米国に次ぎ2位に浮上、現在も2位を維持し1位のアメリカを追っている。日本は2000年代前半の4位から現在は9位にまでランクを下げた。

 中国は、科学技術論文の分野別順位では化学、材料化学、計算機・数学、工学でアメリカを抜いて1位となった。計算機・数学の分野で1位になっているのは、スーパーコンピュータや量子コンピュータなどAI技術に関係の深い分野で中国が先行し始めた証拠でもある。

 トランプ米大統領は研究開発予算を大幅に削減する一方、研究開発の担い手である移民の削減に大わらわだ。日本では大学や研究機関は研究開発予算を減らされ研究員の大半が非正規の有期雇用だ。そうした間隙を縫って科学技術で後発だった中国はイノベーション強国への道を着々と歩むことになる。
プロフィール
ニックネームさん
大西良雄(経済ジャーナリスト)
上智大学卒業後、東洋経済新報社に入社。記者を経て「月刊金融ビジネス」、「週刊東洋経済」編集長を歴任。出版局長、営業局長の後、常務第1編集局長を最後に独立。早稲田大学オープンカレッジ講師のほか講演・執筆活動。
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