過去6回に渡って日本の人口問題について言及してきました。
最後に、もう一度、「領土」「国民」「主権」の基本から考えてみましょう。「領土」は国家にとって、とても重要です。しかし、それはそこに住む「国民=人」がいてこそ意味があるのです。
仮に、「領土」と「国民=人口」が同じくらい重要であるとすれば、両方を反対にしてみて下さい。100年後に人口が半分以下になるという推計が、いかに国家的危機であるかが容易に想像できるのではないでしょうか。
そして、今日、私たちが採り得る3つの選択を考えてきました。
①現状維持という選択
(少子化対策は成果を上げず、出生率は今の低い状態が続く)
【予想される状況】
●2100年には日本の総人口が5,000万人を下回る
●65歳以上が日本の総人口の半数近くになり、世界最高レベルの高齢化国家へ
●労働力不足によって生産性が著しく落ちる (経済に悪影響)
●市場の縮小によって企業の海外流出
●医療も含め社会保障制度の見直し
●年金の支給開始年齢の引き上げ
●グローバル化した一部の富裕層と大半の国民との経済格差拡大(反グローバリゼーション政党の台頭も?)
②外国人労働者の受け入れによって労働力不足を解消するという選択
【予想される状況】
●経済規模の維持
●短期的には1,000万〜2,000万人の移民の受け入れ、
●将来的には5,000万人近くの移民の受け入れ(現在の少子化が続き、経済規模を維持するならば)
●2100年において日系日本人は過半数以下へ(多民族国家へ)
●多言語主義になり、国内でも外国語が必要になる
●大量の移民の受け入れによって最低賃金が下がる
●貧富の差が拡大すれば貧困層の日系日本人と外国人労働者(移民系日本人)の「民族」間衝突の危険性が高まる(極右、極左政党の台頭も?)
③男女観の転換、男女の職場、家事育児のシェアという選択
【予想される状況】
●10~20年後には少子化が止まり、人口の減少が緩やかになる
●経済規模の縮小も限定的に留まる
●労働力不足も緩やかなになる
●外国人労働者を受け入れるにしても②のような大量ではなくなる
このように見ていきますと、やはり③の選択がベストのように思われます。
しかし、以前、当ブログにて「男女格差(ジェンダーギャップ)の読み方(1):世界98位の意味」(
2011年11日19日)というタイトルで記しました通り、日本は先進国の中で男女平等ランクにおいて最低レベルであり、③の選択もかなりの困難が伴います。実のところ、日本が最も国際的に弱い分野なのです(弱いからこそ、少子化なのですが)。
更に③の選択は時間がかかりますので、現実的には多かれ少なかれ①の状況にも陥り、もし、経済規模を維持したいとすれば、②にあるような国内の国際化も不可避かもしれないのです。
しかし、それでも男女の社会的役割に関する価値観の転換を起こし、抜本的な少子化対策を行なわない限り、①もしくは②の選択がより前面に出てしまうのです。つまり、日本が少しでも経済的な豊かを維持し、少しでも若々しい国家であり続けるために、日本人はできるだけ早期に変わらなくてはならないのです。
【私は、フェミニストが声高に叫ぶような「日本は女性差別をしている遅れた国」であるとは思っていません。
2011年11月20日、
2011年11月23日にも書きました通り、むしろ、80年代まで、女性の「シャドーワーク」を見事に社会的に機能させた他にあまり例のない先進国であったと考えています。しかし、90年代以降、この日本型のジェンダーシステムがもはや有効ではなく、少子化、高齢化という国家的危機を招いてしまっているのです。】
領土の問題の再提起、大いに結構です。しかし、上記の現状を考えれば、同等もしくはそれ以上の熱意を持って、少子化対策にも取り組まないならばバランスを欠くのではないでしょうか(今回は論じませんでしたが、国民の命を守るという観点から、毎年、3万人以上の命を奪っている自殺問題も看過できません)。
結局、愛国的な行為とは、地道により「良い国」を造ることであるように思えます。男女共に生き甲斐、働き甲斐があり、住み易く、より子育てをしたくなるような未来に希望のある国を築くことが求められるでしょう。そして、それは隣国を刺激することも無く、世界平和に合致しながら、国を強くすることでもあるのです。